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岬の先で
うるし塗りの飾りが揺れて
涙に濡れた君の顔を見た
はにかむことも上手くいかず
無様なとこを晒す
夢より幻より現実感がなくて
まざまざそれが僕を騒がせ
ませた心がひび割れ
岬の先で惹かれた互い
体温を奪い合い 忘れぬようにと
口づけあえば とけだしていく
ああここは終わりの場所さ
二人の歩んだ軌跡の
並び立ったこうもり傘の群れ
君の鮮やか赤着物探すの
冷え込む冬の寂しい雨
吐いた吐息散って
わがまま放蕩術もなく隠れ
ろくでなしなどと己を責めて
水たまり割り歩く
岬の先で別れた互い
思い出を与えあい 忘れておくれと
抱きしめ合えば とけだしていく
ああここは始まりの場所さ
一人で歩く道筋の
風もない灯りない寂寥がつもり
逢いたいよなどと君をうつして
駆け出すこともできず
岬の先で想った互い
感情を与えあい 忘れはしないと
密かに誓えば 凍っていく
ああここはまだ道半ばさ
二人が目指す終点の




