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巣立ちの春
まぶしい木漏れ日に
小鳥のさえずりと
さわやかな春風
出会いの季節やってくる
書きかけの手紙に ぽたりおちる滴
別れも訪れている
曲がりくねった僕らの岐路
言葉にすることのできない声
はかない今だけのつながりじゃない
寒々しい冬を超えきり
未来への景色は開けた
飛び立っていけ 巣立て
西から差し込む
美麗な黄昏と
東の空には
紫と黒のグラデーション
間違いも誤解も すれ違いさえだって
のりこえ築き上げた
曲がりくねった僕らの岐路
音にすることの叶わない声
まぶしいことばかりだった訳じゃない
白々しい雪も溶けきり
萌芽への道しるべできた
飛び立っていけ 巣立て
明日よりも今日だけみてきたんだっけ
必死になって駆けずり続けていたんだっけ
あのころの僕らもし一度だけでも停まっていたら
きっと現在はないね
曲がりくねった僕らの岐路
書き綴り方もわからない声
やましいこともなくはなかったじゃない
長々しい鎖ふりきり
春疾風に背中押された
飛び立っていけ 振り向かないで
助走は終わった 巣立て




