第八話 狩り
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「そろそろか……」
俺は日記をしまい、部屋を出てリビングへと向かう。
今日の午後からの魔法の修業は中止となった。
理由はアスラが率いる魔物狩りについていくためだ。
ヴァージニア家が治めるウェルディアは王都から近く、街も城壁で囲われているため魔物の被害は少ない。
しかし、念には念を……ということで数か月に一度アスラが街の冒険者たちを率いて街の周辺の魔物を狩るのである。といってもウェルディア周辺は魔物も少ないので、大概は見回りといった感じになるのだが……
リビングに入ると簡易的な金属の鎧を着て待っていた。手には杖を持っている。
「準備は出来たか、ユウ?」
「はい、父上」
かくいう俺も皮の鎧を着ているのだが……
「今日の狩りも見回りだけになるだろう。報告でもとくに危険な魔物の報告は来ていない」
6歳になった俺は今年から初めて狩りに参加する。一応、魔法も使えるようになったのでそろそろ外の世界を見ていたほうがいいだろう……というのがアスラの考えのようだ。
そう俺にとって初めての外の世界なのだ。今まで家で魔法の勉強をしたり、書斎の本を読んだり……と家の外に出たことはなかった。まあ、アスラやライラが俺が外に出るのを反対していたのもあるが。
「さて、そろそろ行こうか」
俺はアスラの後ろについていく。
玄関を出るとそこには街の景色が広がっていた。
大きな通り、たくさんの人やお店、それらすべてが俺にとっては新鮮だった。6年ぶりに見た街は俺の好奇心を刺激する。
「どうだ?これがヴァージニア家が治める街ウェルディアだ」
アスラが自慢げに言う。
街は活気にあふれ、たくさんの人が行きかっている。我が家は街の一番高い土地に位置しているので街全体が見渡せる。
その後アスラは俺を家の前にあった馬車に乗せる。馬車はゆっくりと走り出し、街と外をつなぐ4つの門のうち東門へと向かう。
ウェルディアの街は東西南北の門をつなぐ大通りで区分けされており、北区、東区、南区、西区といった具合だ。ヴァージニア家があるのは北区で、この区域は街の有力者や豪商などが多い。東区は冒険者ギルドや商業ギルド……といった大きなギルドが多いらしい。
しばらくし俺たちは東門へ着く。そこには30人ほどの屈強な大男たちと女性が数人待っていた。おそらく冒険者たちだろう、来る途中でアスラが教えてくれていたので驚きはしない。
「よお、領主様。こっちは準備万端だぜ」
冒険者の中から大男が一人出てきてアスラに話しかけてきた。
「ああ、いつもありがとうベルク」
「なに、いいってことよ」
豪快に笑うこの大男はベルクというらしい。アスラも笑っていた。
「さて、今日も狩りをおこなうわけだがその前に。今日は私の息子も同行することになっている。息子のユウだ」
アスラが冒険者たちに俺を紹介する。
「ユウ・ヴァージニアです、よろしくお願いします」
俺が挨拶と同時に頭を下げると、あちこちから野次が飛んできた。
「おお、がんばれよ~」
「よろしくね~」
誰が言っているのかわからない俺はあいまいに微笑んでおく。
「一応魔法も使えるがまだまだ修業が足りていない、みんな出来ればアシストしてあげてくれ」
アスラが捕捉で俺のことを説明する。
「さすが領主様の息子だね」
「あの年でもう魔法が使えるのか」
なんかあちこちから好奇の視線が……
俺は助けを求めてアスラに視線を送る。
「さて、そろそろ狩りに行くとしようか」
さすがアスラ、よくわかってくれた!俺は勝手に感動する。
東門を抜けた先は平原だった。特に視界を遮るものはなく所々に森が見えるくらいだろうか見渡す限り平原が広がっている。
どんな魔物が出てくるのか?俺はわくわくしながら歩き出す。
こうして俺の初めての狩りは始まったーーー
いよいよ戦闘シーンがくるか!?
まあ、それはお楽しみかな・・・・・w