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第十六話 アスラの覚悟

プロットにてこずりました・・・・・

ーーーマルス辺境伯視点ーーーー


「彼の様子は?」

 

 私は到着したばかりのウェルディアにて彼がいる場所へと向かう途中、部下の一人に彼の状況を聞いてみる。


「アスラ様とライラ様がお亡くなりになられたショックが大きいのか、いまだにお部屋に閉じこもっていられます」


 部下が少し心配そうな表情を浮かべ答える。


 たった9歳で両親を亡くしたのだ。仕方のないことかもしれないな、と一人考えながらまた歩を進める。


 私の治める都市ルードリットにヴァージニア家が襲撃されたという報告が来たのは襲撃から一週間後だった。


 報告の内容はユウを除いたヴァージニア家の全滅という信じられない内容だった。


 襲撃は誰が行ったのかは未だ掴めていない。


 しかし、王国でも有数の魔術師であるアスラを倒したというのなら相手もかなりの力を持った者だろう。


 となると、あいつの予想が当たったという可能性が大きい。


「こちらです」


 部下が一つの部屋の前にて立ち止まり、声をかけてきた。私は思考を中断し部屋の中に入る。


 部屋に入ると一人の少年がベッドに腰を掛けていた。


 私はゆっくりと彼に近づき声をかけた。


「久しぶりだね、ユウ君」


 ハッ、と顔を上げ驚いた表情をするユウ。


「ま、マルス辺境伯……」


 彼は私を見て呟くと同時に、慌てて立ち上がろうとするが私はそれを止める。


 至って普通に見えるが目に光は無く、呆然と生きているといった感じだ。


「今回はアスラ伯爵の息子としてではなく、一人の親友の息子として君に会いに来たんだ」


「親友……ですか」


 不思議そうに呟く彼を見て私は説明する。


「アスラは私の王立学院の同級生でね。アスラが魔法科のトップ、私が騎士科のトップだったんだ」


 もう数年も前の話だが今でも懐かしく、鮮明に思い出せる。


「あいつは昔から無茶をする奴でね、私も何度か危険なゴタゴタに巻き込まれたよ」


「父が……?」


「ああ、でもあいつに救われた奴は多かった。自分の力を人のために使うんだ、といつも言っていたよ。実際、あいつの周りにはいつも人がたくさんいた」


「だからあんなに街の人にも人気だったんですね……」


 納得したようにつぶやくユウを見て私は話を続ける。


「そう。君は覚えてるかな?3年前ここを訪れた時があっただろう」


「はい、リナと一緒に来た時ですよね?」


「ふふふ、リナも覚えていてくれたか。そう、その日以来アスラとはいくつかやり取りをしていたんだ」


 これが今日ここに、ユウに会いに来た理由。


「アスラと私はユウ君、君が狙われていることに気づいていた。そして、あいつは私に一つの秘密を打ち明けてくれた」


 自分が狙われていたと聞いて顔を蒼くするユウ。


 それでも、私は話を続けなければならない。


「君が神級の魔力を持つこと、そしてそれが君の狙われた原因だ」


 彼はそれを聞いて無言になる。小さな手を握り締め、必死に動揺を隠そうとしている。


「ユウ君、君を狙った者たち……、いやヴァージニア家を襲ったのは『パルディアの蜘蛛』ではないかな?」


 その瞬間、彼は目を大きく見開き私を見る。


 その眼は澄んでいた。だからこそ、瞳の奥に見える怒り、悲しみが痛いほど分かってしまう。


「マルス辺境伯……、パルディアの蜘蛛について何か知っているんですか」


「それを聞いてユウ君はどうするんだい?」


「僕は……」


 再び黙ってしまうユウ君。


「まあ、君が聞きたいことがたくさんあるだろう。その前に私は君に渡しておかなければならないものが一つある」


「僕に……ですか?」


「ああ、アスラから君に充てた手紙だ」


 そういい懐から一枚の便箋を彼に手渡す。


 ユウ君は手紙を急いで読み始める。まるで、何かに縋るように。怯える子羊のように彼は一心不乱に手紙を読み始めたーーーーー




ーーーーーユウ視点ーーーーー


手紙に書かれていたのは謝罪とパルディアの蜘蛛についてだった。


 アスラはパルディアの蜘蛛の強さを知っていた。だからこそ、もしもの時に備えこの手紙を用意し、マルス辺境伯に俺のことを頼んだらしい。


 そして、手紙の最後に一言こう書かれていた。


「ユウ、この手紙を読んでいるということは私は何も守れなかったのだろう。だが、お前には力がある。神にも匹敵する力、それは人が背負うには強大すぎる力だ。以前言ったよな、力の使い道を考えておけ、と。その力をどう使うかはお前次第だ。自分で考えて、悩んで、泣いて、笑って……いろんなことを経験して生きてほしい」


 俺は悔やんでいた。神級と言われる魔力があろうとも、怯えて何もできなかった自分が悔しかった。


 それでも、今この手紙を読んではっきりした。


 俺は強くなる。


 大事なものを守れるような父のようにーーーー


「ユウ君」 


 マルス辺境伯が再び話し掛けてきた。


「手紙を読んだと思うけど、私は君をアスラから託されていてね。だから無理強いはしないけど、ユウ君うちへこないか?」


「へ?」


「私が治める都市リードリットに来ないかい?」


 こうして、マルス辺境伯による思いがけない誘いに戸惑う俺。


 俺はーーーーーーー


お久しぶりです!

やっと更新できた・・・・・w

これからは少しペースが落ちますが更新していく予定です。

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