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第十五話 悲しみと光

やっと完結・・・・


あと総合3000PV・600ユニークアクセスを突破しました!

見てくださっている方、ありがとうございました!

 アスラが呟いた瞬間、俺は何かの魔力を感じた。


 それは俺が今まで感じたことのないぐらい膨大な魔力と力を持った何か。


 魔術師は魔力を操るためか魔力に敏感だ。視覚に捉えられはしないがそれがどれくらいの魔力量なのか、誰が魔力を扱っているのか感じることができる。


 今俺が感じたのはアスラからではない……


 俺がそう考えている間にも、黒ローブ達は構わず突き進み短剣や長剣といった武器でアスラを殺そうとする。


 アスラはその集団を見て「ラウル」とつぶやく。


 次の瞬間……






 目前に迫った黒ローブ達を光の柱が呑み込んだ。






 それは圧倒的だった。

 

 光の柱は何もないところ黒ローブの頭上から一瞬にして現れ、黒ローブ達を呑み込み光の柱が消えた後には何も残らない(・・・・・)


「何故、それが……」


 フィリアが呻くようにつぶやく。


 先ほどまでの余裕はなく、他の黒ローブ達も皆今の光景を見て固まっている。


「お前たちが密かに動いていることは知っていたよ、まさかフィリアがパルディアの蜘蛛の一員とは思わなかったけどね」


 アスラは淡々と話を進める。


「だが、知っていても私の力は何一つ守れなかった。王国でも5本の指にと言われる私の力は家族を……妻を守れなかった」


 その声は悲しみに満ちていた。自分の力不足を嘆くようにしフィリアと黒ローブ達を睨みつける。


「だが、せめてユウだけは守る!たとえ命が尽きようと!もう私は大切な家族を失いたくない!」


 もうそれは悲鳴だった。悲しみと怒りと恨みといった様々な感情が混ざり合った心からの声だった。


 アスラは殺意の秘めた眼で言葉を紡ぎだす。


 俺はその時、アスラが発する言葉一つ一つから魔力を感じた。


「偉大なる精霊ラウルよ、対価と引き換え割れに力を与えよ。闇をも呑み……」


 本来の魔法では存在しないはずの詠唱が始まり、先ほどの光景から固まっていたフィリアたちは動き出す。


「そ、そいつを殺しなさい!!!」


 フィリアが大声で叫び、黒ローブ達もようやく動き出し再びアスラに斬りかかる。


「……裁きを下す光の力、シャイニングレイン」


 だが襲い掛かるよりもアスラの詠唱は早く終わる。


 唱え終わった直後、屋敷が震える。まるで地鳴りのような轟音がウェルディアの街に響く。


「なによ、一体なんなのよ!!!」


 フィリアは絶望に満ちたような声で叫ぶ。


 先ほどまで狂気に満ちた笑顔はどこにもなく、黒ローブ達も困惑している。


 俺も困惑していると温かい光が俺を包み込む。



 そして……





 屋敷は光の柱に包まれたーーーーーーー












 目を開けるとそこには星空が広がっていた。


 「(あれ……さっきまで俺襲われてて……)」


 そこまで思い出したとこで俺は跳ね起きた。


 周りを見るが屋敷はなく、あるのは僅かな木片だけだ。


 俺はすぐに屋敷の跡地でアスラとライラを探す。


「父上!父上!!!」


 俺は必死に叫び声をあげてアスラを探す。


 しかし、声は帰ってこず夜の空へ空しく響くだけだ。


 

 あの光はなんだったのか?何故あんなに余裕だったフィリアが絶望したように叫んだのか……


 分からないことが多すぎる。


 特に不可解なのは何一つ(・・・)残っていないことだ。


 辺りにウェルディアの街並みが広がっているので、ここは屋敷なのはわかる。しかし、屋敷も、誰かの遺体も、アスラもフィリアもどこにもない。


 俺は途方に暮れた。


 俺をかばって死んだライラ。悲しみに満ちた叫びをあげるアスラ。


 俺にとって大切な家族、真正面から俺を愛してくれた人たち。


 視界が滲む。



 滲んだ視界で俺はあるものを見つけた。


 俺はそれを拾い上げる。



 それはアスラが身に着けていた指輪だった。


 装飾も何もないシンプルな指輪。


 俺はそれを大事に抱え込みその場に崩れ落ちる。


 こらえていた感情が瞳からあふれ出す。

 

 


 


 こうして俺はこの日、この世界で最も大切な人達を失ったーーーー

これにて幼少期編は完結です。


次回の更新は少し遅れるかもですが、

ユウは次のステージへ・・・・・



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