第十話 突然の来訪者
ヒロイン登場?
狩りから数日……、俺はいつも通りの生活に戻っていた。
朝起きて修行して夕飯で家族と話して……となんら変わりない平穏な生活。
修行はだいぶ魔力をコントロール出来てきて、威力も調整出来るようになってきた。
おそらく、あの狩りでゴブリンに追いかけられた時に感覚的に分かったのだろう。さすがに命の危機を感じただけはあった。
なんて思い出したくないことを考えつつ、今日も修行の準備を、朝日が眩しい部屋でしているとノックがドアの方から聞こえてきた。
「ユウ、起きてる?」
声からしてライラだろう。
「はい、少々お待ちください 」
俺は服装を整えドア開ける。
「ユウ、今日はお客様が来るから修行は中止……ってもう準備してたのね」
部屋の光景を見て苦笑するライラ。俺の後には魔水晶と教科書代わりの魔法に関する書物が置かれていた。
「お客様ですか?」
俺はさきほど聞いたことに疑問を持ち質問する。
いままで家に客が来ることは何度もあったが、全てアスラの客であり俺には関係無いはずだ。
「ええ、マルス辺境伯と娘さんがくるらしいわ」
『マルス辺境伯』
ヴェルヘディア王国の東周辺の貴族を取り仕切る大貴族である。
広大な平原を次々と開拓し多くの街や村を作り、それらを支援するなどその経済力は国でも有数である。
また多くの騎士を育てあげるなど軍事力も強大であり、現王国騎士団の団長もマルス辺境伯の家の出身だったはずだ。
ヴェルヘディア建国当初からあるマルス辺境伯の家は建国の際国に大きく貢献し、今もなおその力は絶大で国王からの信頼も厚い。
っで、そんな大物貴族がなんでまた……
「たぶん様子見と言うところだろうけど……。アスラがそろそろユウをほかの貴族に紹介してもいいだろうって……」
一応うちは伯爵なのでそれなりに辺境伯とは交流があるし、あちらも娘さんを連れてきているということはお互いの子供を紹介する……といったところだろうか。
「分かりました、とりあえず服を着替えておきます」
さすがに修行着で挨拶に出るわけにはいかない。
「それじゃあリビングにいるから、着替えたら降りてらっしゃい」
ライラはそう言って部屋を出て行った。
ふぅ……、それにしても厄介なことになったな。
昔から先生など年上の人と話すのが苦手なのだ。ましてや、お偉いさんとなると緊張しすぎて大概黙ったままになることが多かった。
まあ、そんなことを考えていてもキリがないので俺は渋々パーティー用の服装に着替え、俺はリビングへと向かった……
マルス辺境伯は俺がリビングに来ると同時にやってきた。狙ってたんじゃないかというほど嫌なタイミングだ。
「お久しぶりですね、マルス辺境伯」
俺はアスラと応接室でマルス辺境伯とその娘さんと相対していた。
マルス辺境伯は40代過ぎだろう、雰囲気はアスラに似ていて優しそうな人だ。
特徴的なのは髭だろうか?優しそうだか、どこか貫禄があるように思える。
「お久しぶりですなアスラ伯爵。今回は急に面会申し訳ない」
「いえいえ」
お互い挨拶をし当たり障りのない世間話を始める。俺はその間、愛想笑いを浮かべておく。
「そうそう、横にいるのが長女のリナです」
会話が一段落し娘を紹介するマルス辺境伯。
紹介されたリナという少女は綺麗な金髪に蒼い澄んだ瞳をしていた。紹介されニコリと微笑む。微笑んだ姿はとても愛らしく、幼いながら美しいとも思った。
「まだ幼いのに美しいですね。ああ、私の横にいるのが長男のユウです」
アスラも俺を代わりに紹介する。
俺はマルス辺境伯からの品定めのような視線を真っ正面から見つめ返す。
「随分落ち着きがある子だ。まだ幼いがしっかりしていそうだ」
評価はまずまずのようだ。
まだこの会談は続くのかと考えていたらマルス辺境伯が……
「私たちの話を聞いてるだけでは退屈でしょうし、二人で遊ばせてきたらどうでしょう?」
マルス辺境伯の思わぬ一言が飛んできた。
「そうですね……、ユウ。リナちゃんを連れ屋敷を案内してやりなさい」
「分かりました、父上」
頷く以外選択肢のない俺はリナを連れて応接室を出た。
なんかとんでもないことになったがこうなった以上やるしかない。
しかも相手はマルス辺境伯の娘。下手なことしたら何が待ってるか……
俺は不安を抱えたまま、リナを自分の部屋へと案内した……
登場だけで終わりましたね(苦笑)
次回は進展するのか!?
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