第九話 自分の実力
キャラ名に悩む日々w
「オラァアアアア!!!!」
ベルクさんが雄叫びを上げ、大剣を上から振るう。流れるような動作で振るわれた大剣は吸い込まれるかのようにゴブリンに当たり、ゴブリンは真っ二つになる。
「ま、こんなもんか」
ガハハっと豪快に笑うベルクさん。
後方で見ていた俺はゴブリンを倒したことではなくベルクさんに驚愕していた。
ベルクさんは軽々と大剣を振るっているが、ベルクさんの大剣は身長180はあるベルクさんと同じぐらいの大きさだ。あんなのを自由に振り回す筋力ってどんな化け物だ。
「あれがウェルディアでも指折りの冒険者ベルクだ」
隣にいたアスラが教えてくれる。そら、あんだけ強ければなぁ……
狩りは特に問題もなく無事進行している。
途中で魔物が出て来たりしたが、俺が魔法を使う前にベルクさんを始め多くの冒険者が魔物を素早く狩っていくため、俺は何もすることなく今に至る。
「そろそろいいだろう」
アスラはそう呟くと全員に帰還準備をするよう指示した。
俺は特に問題も起こらなかったことにホットしつつ、放れたとこに置いておいた荷物を取りに行く。
荷物を無事見つけ拾おうとする。
すると……
ガサガサ!
突然後ろの茂みから音がした。反射的に身構え後ろを向く。
そこには先ほどベルクさんが狩ったようなゴブリンが5体いた。
「ちっ、最後の最後に……」
出来れば戦いなどしたくなかったが、ゴブリンはこちらに向いて武器を構えている。
逃げるにしても6歳の体じゃたいして早く走れないので追い付かれると判断し、右腕をゴブリンに向け雷撃の準備をする。
5、4、3、2、1!
俺は修行でやったとおりにイメージし放つ。威力は中庭で地面をえぐった時と同じにして、魔力を練る。
バリッ!!!!
修行通りに雷撃は発動し、小さな雷は一直線にゴブリンへ向かう。
そのまま雷撃は中心にいたゴブリンに当たり、黒こげになる。ゴブリン達は俺が敵だと判断したのか奇声を上げこっちに向かってきた。
俺はゴブリン達から逃げるため走り出す。
「くそっ!」
さすが6歳の体、遅い!
俺は走りながら魔力を練り後ろのゴブリン達に向かい雷撃を放つ。
今度の雷撃は魔力を多めに込めておいたせいか雷の規模が大きい。
そのまま雷撃は残りのゴブリン達をすべて巻き込み黒こげにする。
「ふぅ……」
俺は無事ゴブリンを狩り終え一息つく。
すると、先ほどの雷撃の音を聞いた近くの冒険者達がやってきた。
「ユウ様、先ほど大きな音がしましたがお怪我はありませんか?」
冒険者の1人の男性が俺に声を掛けてきた。
「ああ、ゴブリンが出たから魔法を使っただけだよ」
そう言って黒こげのゴブリンの死体の方へと視線をやる。
冒険者達も釣られるように死体を見て、驚いたのか口を大きく開けていた。
「さ、さすが領主様の息子ですね……」
驚きを隠せずといった風に冒険者の男性は言う。
俺は冒険者達にアスラの下に戻ろうと提案し、再起動した冒険者達と共に集合地点に戻った。
「どうだった、初の狩りは?」
アスラが帰りの馬車で今日の感想を聞いてきた。
「冒険者さんがほとんど狩ってくれたので特にすることはありませんでしたが、非常にいい経験になったと思います」
「そうか」
アスラはそう言うと俺の頭をわしゃわしゃと少し乱暴に撫でた。
こうして俺の初の狩りは無事に終わった。
一撃でゴブリンを沈めたユウ。
恐ろしい……
そんなわけで次回はようやくヒロイン?的な子が登場する予定です。