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ジャズとの出会い

 私のジャズとの出会いは、たしか小学生の低学年だったと思います。


 自営業をしていた父のお得意さんに招待されて、現在は無くなってしまった市民会館に父と妹と三人で行きました。もちろん当時は、ジャズはおろか音楽のジャンルなどもまったく知りませんでしたから、有名な人の演奏を聴きにいくとしか言われていなかったと思います。そして、目の前のステージ上で繰り広げられた演奏に度肝を抜かれたわけです。


 「有名な人」というのが、あの渡辺貞夫さんだったというのは後から知ったのですが、私と妹が釘付けになったのはナベサダさんのサックスよりもサイドマンのピアノでした。ちょうど座っていた席が、ステージの左寄りだったこともあって、ピアニストがいちばん近かったんです。学校にもありましたし、ピアノという楽器に馴染みがあったからでしょう、あんなに早くピアノを弾いているのは見たことがありませんでしたからね。ピアノソロの順番になる度に、食い入るように見つめていたものです。


 現在もピアノの入ったワンホーンカルテットを好んで聴くことが多いのは、このときの影響が大きいのだと思います。

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