098-諸悪の根源
というわけで。
アドアステラは、フォービュラにあるカナードの基地まで来ていた。
あの後、アラッドと合流し、フォービュラに移動。
一番高いプローブをばら撒いて、サブシステムを全開にして探したのだ。
「しかし.....これは分からないな......」
見た目はただの岩塊だ。
ただし、熱源を探ると、広範囲に不自然な熱源が分布している。
更に、周囲に浮く岩塊の破片もまた迎撃装置だとわかる。
『もうワープしても大丈夫か?』
「待て。もう少し偵察する」
アドアステラは現在遮蔽しながら、岩塊の周囲を偵察している。
そして、惑星側に近づいたとき。
「成程、こうなっていたか」
岩塊の裏側には、構造物がむき出しになっていた。
ガイドビーコンが点滅し、大型輸送艦が入れそうな格納庫がある。
やっぱり、実験自体はここでやっていたんだ。
『スキャン完了。武装を複数確認、ただし膨大ではありません』
「脱出口は一か所のみのようだな」
アラッドのフリゲートで充分戦える。
ただし、内部の格納庫に何が潜んでいるかは、私にもわからない。
「とりあえず、行くぞ――――アラッド、ワープ開始!」
『これより、ワープする!』
同時に、アドアステラは遮蔽を解く。
スキャン警報が響き、ブリッジに緊張が走る。
「ケイン、ジラントを全機展開! ファイス、サブシステム切り替え! シトリン、セントリーガンをターゲット開始、その後測的データをアリアとファイスに転送せよ」
『了解。ターゲットとの相互距離:72km、相対速度250km/h』
「アリア。ターゲットとの距離が遠すぎます、スマートミサイルでは当てられません」
「近い対象のデータを受け取り次第攻撃せよ」
「了解」
そのうちに、至近距離にアラッドがワープしてくる。
『既にやっているな?』
「ああ、俺たちが攻撃していないセントリーガンを頼む」
『了解だ!』
アクシズⅡは、速度を上げてセントリーガンの撃破に向かう。
『敵セントリーガン、総数が82から43に減少』
「よし、このまま――――」
そう思ったとき、レーダーがアラート音を発した。
『研究施設より、複数の小型ドローン接近』
「絶対にただのドローンではないな....アラッド、注意し――――くっ!!」
ドローンが攻撃してきたが、威力が段違い過ぎた。
アドアステラの未強化シールドが、一瞬で半減した。
「成程、あれが研究成果か? ……ファイス、シールドブースター起動。防御カーネルを起動せよ。シトリン、ポーラライズドモジュールを起動せよ」
『了解。ポーラライズドモジュール起動。』
次の瞬間、アドアステラの全てのシステムが一瞬ダウンする。
再起動すると、幾つかの装備が使用不能になっていた。
全てのエネルギーを一か所に一極化させるこのモジュールは、指定したものにエネルギーを全振りするのだ。
「サブワープドライブ、出力を上げろ。シールドブースターにエネルギー供給」
「サブワープドライブの出力上昇。行けます」
ノルスが予備ワープドライブで、船の守りを賄う。
出力はアドアステラのパワーコア、ワープドライブ、ハイパードライブから得られるエネルギーよりははるかに低いものの、ポーラライズドモジュールの弱点を補うには充分だ。
本来防御を捨てて使うモジュールを、裏技で防御兼用としているのである。
「ドローンに攻撃集中! オーバークロック! 撃ち落とせ!」
秒間二発の攻撃速度で、ドローンのうち一機を撃墜する。
砲撃だけでなく、シールドも戦艦並だ。
「あんなものを量産されれば、戦争の歴史が変わるな....」
あれを一機撃墜するのに、オルトス王国の戦力では、おそらく戦艦四隻は必要だ。
そして、群がられれば戦艦ではあっと言う間に沈んでしまう。
「今、ここで止める! アリア!」
「ECM弾頭、発射します!」
基地のセンサーがなければ、ドローンの目と耳は消滅する。
予想通り、センサーが混乱したことで、ドローンは動きを止めた。
めちゃくちゃに動き回っている。
それをTALで捕まえ、撃ち落とす。
『こっちは終わったぞ!』
「分かった、ドローンの攻撃対象になったら終わりだ、いったん射程外に避難しろ!」
『了解!』
そして、それから更に十分の戦闘を経て、研究施設の外側を守る戦力は全滅したのであった。
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