097-互いの決着
報告を受けたシラードは、やっぱりといった顔で頷いていた。
「そうか.....やはりな」
結局、ライズコンソーシアムのデータベースをハッキングした結果、幾つもの証拠が発見された。
違法奴隷の購入、人道を無視した実験、不当に領土を危険に晒したことによる反逆罪。
カナードはこうして、隠密に手配されることとなったのだが......
「.....そうか、あの子が」
一番ショックを受けていたのは、ゼーレンだった。
だが、心のどこかでは理解していたような反応でもあった。
「大丈夫か?」
「いいや、大丈夫ではない。あの子には更生してもらわなければ困る」
「必ず、更生させて見せよう」
「出来ればいいがな」
ゼーレンは真顔に戻ると、部屋から出ていった。
「......これから、どうするつもりだ?」
「正直なところ、スリーパードローンの集結も気になるところだ....そこで、お前にまた指名依頼を出す」
シラードは、私を真っすぐに見た。
「ゼーレンは、俺の恩人だ。だから――――この決着はお前がつけろ。そして、もし間に合うようであれば.....俺たちの決戦に駆けつけてくれ」
「分かった」
事前の情報通りであれば、スリーパー達はジスト星系から3ジャンプ先であるアルカ星系の第二惑星.....ガス惑星の外周部に集結しているようだ。
シラード達は星系軍を率いて、スリーパー達と戦うようである。
「TRINITY.のクソ野郎共は、協力はしないようだ」
「そうか」
「大方、こちらが劣勢になったところで加勢し、手柄を奪い取るつもりだろうがな」
シラードは忌々しそうに呟く。
「既に奴がどこに逃げたかは特定済みだ。シラード......死ぬなよ」
「有難う...お前らしくもないが」
「死んだら報酬が支払えないだろう?」
「....ああ」
短い付き合いだったけれど、悪い人ではなかったな。
出来れば死んでほしくはないけれど。
「敵の位置はフォービュラ。前回の基地とは別の場所にある、巨大な岩盤に偽装された研究施設だ」
「主な実験はそこでやっていたのか.....頼む」
「ああ」
ただ、研究施設の場所は分からない。
おそらく、ブラックマーケットより厳重な遮蔽装置で隠されているだろう。
アラッドには悪いが、先に敵の排除を優先させてもらう。
「.......ファイス、出れるか?」
『はっ、何か御座いますか?』
「アラッドを呼んでくれ」
『分かりました』
今回の基地戦は、アラッドにも参加してもらう。
星系軍や傭兵たちは、防衛戦に参加するために引き抜けないけど、アラッド一人くらいなら大丈夫なはず。
......多分。
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