表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の宇宙に船ごと転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜  作者: 黴男
シーズン4-スリーパー防衛編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/272

096-天才の言い分

カルはまず、ファイスと共に背中合わせに立つ。

戦闘ボットは、カルに変わらず照準を合わせているからだ。


「舐められたものです」

「だったら、実力で証明してみせるんだな」

「お望みとあらば」


ファイスは警棒を突き出し、内部に仕舞われた部分を突出させる。

そして、猛然と戦闘ボットに襲いかかる。

だが、ファイスでは戦闘ボットに勝てず、押し負ける。


「近接格闘を専門として作られたドローンだ。お前では勝てないな」


カルはカルセールを抜き、戦闘ボットのコアを撃ち抜く。

崩れ落ちた戦闘ボットだったが、カルにもう一機が襲い掛かる。


「おっと」


カルは途端に、人間離れした動きを見せる。

即座に社長室の椅子を持ち上げ、投げたのだ。

いくら椅子とはいえ、何十キロもあるそれを、空のダンボールでも持ち上げるように。

そして、一瞬センサーを混乱させてから、カルセールでもう一撃。

コアを撃ち抜かれた戦闘ボットは沈黙する。


「君たちは強いね...本当に強い」

「だろう? 肉体強化など必要ない、そう思わないか?」

「だがね...君の言い分は、“才ある者”の言い分だ。僕たち凡たる者の言い分ではない。努力すれば、学べば...そんな事は、戯言でしかないんだ!」

「だが、才ある者が肉体を強化すれば、結局同じ事だ」

「それでいい。争う事ではない、肉体強化をした時点で、才ある者は敗北しているのだからな!」


話にならない。

そう判断したカルは、脱出ルートを見計らう。

ファイスにさえ乗って仕舞えば、天井付近まで一気に跳び上がれる。

だが。

直後、カルの体は吹っ飛ばされていた。


「がはっ...!?」

「主人!」

「才ある者は皆、無駄な誇りなど持たないのだろう。だから僕は、この一方的な感情にケジメをつける時が来たと感じているよ」

「既に実を結んでいたのか」


カナードの右腕は、不気味に肥大していた。


「いいや違う。これは僕の個人的な肉体改造に過ぎない...身を守る程度、だがね。変異パターンの安定性を掴むまでに、数千人を消費したよ」

「そうか...それで、使い心地はどうなんだ?」

「最高さ!」


直後、カルは跳躍していた。

そこにカナードが殴りかかるが、カルは拳を身を捻って回転する事で回避し、そのままの勢いでカナードに蹴りを叩き込んでいた。


「グブゥウ!?」

「俺の兄は偉大だった。きっと、この時のために違いないだろう」

「その身のこなし...相当な武術の使い手かッ!」


茶帯。

黒帯。

カルは、かつて得たものたちを思い浮かべる。

だが、そんなものは兄の寵愛に比べれば大したことではない。

兄の寵愛を受けたいばかりに、兄の課した試練を全て乗り越えた彼女。


「甘えるな! 才だけで覆せるものなどない! 全ては究極の努力...それさえあれば、才だけの者などすぐに倒せる!」

「世迷言を!」


カナードは机を投げ、カルに飛び掛かる。

だがカルは、手刀で机を叩き落とし、それを足場に跳躍する。


「はああっ!」

「グゥウウッ!!」


綺麗な跳び膝蹴りが決まる。

カルは再び床に降り、再度跳んで拳を振るう。


「ガアアッ!」


とても、着地直後から放たれたとは思えない重い一撃が、カナードの顔面を直撃した。

バァンと人体から鳴りそうにない音が響き渡り、カナードは倒れる。


「な...何故...」

「努力もなしに、肉体だけ強化して天才に至るだと! それこそ世迷言だ!」


天才という言葉に関しては完全にブーメランだが、カルは微塵も気付いていなかった。


「だ...だがね...僕は主張を曲げる気は無いよ...いくら、君たちが現実を突きつけても...ね」

「ああ、そうだな」

「だから僕は、往生際悪く...逃げさせてもらおう!」

「何!?」


直後、部屋の壁が開き、

カナードは、宇宙空間へと飛び出して行った。


「待て、待て...!」


カルは叫ぶが、ファイスに身体を抑えられる。

流石にファイスの怪力には勝てず、カルたちはカナードを逃してしまったのだった。


面白いと感じたら、感想を書いていってください!

出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。

レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。

どのような感想・レビューでもお待ちしております!


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ