092-果てなき舞踏会
「――――殺れ!!」
直後、カルに銃口が一斉に向けられ、それらがすべて一斉に光線を放つ。
「主人!」
「安心しろ」
カルはそのまま上に跳躍する。
そして、身を捩って一回転し、彼に銃口を向けていた一人に向かって飛び蹴りをかました。
「ぐああっ!?」
「久々の運動だな....行くぞファイス、取り残されるな!」
「了解!」
ファイスは息を吸い込み、咆哮する。
「ガァアオオオオオオオオオオオオオンンッッッ!!!」
その凶暴な咆哮は、周囲の空気を激しく震わせ――――海賊たちは一瞬、それに怯えた。
そして、彼は突き抜ける。
地面を蹴り砕くほどの加速で、ファイスは海賊たちの一団に肉薄する。
「主人の敵に死をッ!!」
ファイスの腰から引き抜かれた警棒が、ジャキン! と殴打部分を飛び出させた。
トリタニウムで構成されたその警棒は、本来の護身用のものではなく、最早モーニングスター並の質量兵器と化していた。
相当の重量を持つそれを、ファイスはその剛腕で振るった。
到底人体から出るような音ではない、破壊音と共に、警棒で殴られた人間は頭を砕かれて倒れこんだ。
「もう逃げられんぞ!」
「フフ、どうかな?」
その間に、カルは壁際に追い詰められていた。
だがカルは不敵に笑い、ニケで上を撃つ。
その先にあったシャンデリアの留め具が破壊され、シャンデリアが落ちてくる。
「.....ファイス! 後ろだ!」
「はっ!」
カルはシャンデリアを避け、レーザーライフルの雨霰の中を駆ける。
素早くニケをホルスターに仕舞い、カルセールを構える。
「喰らい尽くせ――――カルセール!」
カルセールの黒い銃身に走っていた赤い幾何学模様が消え、内部構造を露出させる。
そして、二発の射撃で腹を空かせたカルセールは、目の前のエネルギー全て――――向かってくるレーザー全てを、純粋なエネルギーへと変換し、溜め込んでいく。
「銃が効かねえなら、直接! ――――がっ!?」
「気づいていないとでも思ったか?」
背後に回っていた男を、カルは銃の持ち手で殴り飛ばした。
「なんで.....船乗りが、こんなに強いんだ.....」
「あまり舐めてくれるなよ」
カルは顔を上げ、周囲を俯瞰する。
「(まだまだ.....もっと強くならないと。お兄ちゃんに見捨てられたくないから!)」
「グルルルルルォアアア!!!」
ファイスが、猛然と海賊たちに襲い掛かっていた。
銃で狙おうとしている者もいるが、ファイスの恐ろしい形相に”ビビッて”照準が合わせられないのだ。
「さて、パーティーもいよいよ終幕か」
カルはニケとカルセールを交差させるように持つ。
直後。
二階の客席の扉が吹き飛び、ケインとアラッドが姿を現す。
「ごしゅじんさま!」
「カル! 大丈夫か!?」
「ああ! 早くこちらへ!」
カルはファイスが追い込んだ海賊の集団の足元に、カルセールを放つ。
深く差し込まれたカルセールのエネルギー弾が地中で起爆し、海賊たちをまとめて吹き飛ばす。
その悲鳴から意識を逸らしながら、カルは止まることなく動き続けるのだった。
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