079-警備システム突破
結果として。
ファイスは一命を取り留めた。
ナノマシンから、秘蔵の回復薬まで。
ありとあらゆる治療手段を用いた結果、内臓まで治癒してしまった。
とはいえ、当分は安静だ。
「さて、問題は...」
私は、正常にドックインしたアドアステラを見る。
ここまで辿り着くことを想定していないのか、アドアステラは普通に入港する事ができた。
だが、装甲は修復中、パワーコアは破損寸前、ワープコアは崩れかけと単純にボロボロである。
唯一ハイパードライブだけは無事であるが、単体では航行できない。
さっき、アーマーリペアドローンであるノクシスを抱き抱えて照射した所、損傷箇所が修復したため、パワーコアとワープコアはこれで修復する予定だ。
「目下のところ、問題は...」
この秘密施設である。
警備は無いが、セキュリティをハッキングする技術はこちらには無い。
そこで、少々グレーだけど、ウイルスを送信してセキュリティをダウンさせる事にした。
だが、物凄く厳重なセキュリティらしく、解除に時間がかかっていた。
『データバンクとは独立したシステムのようです。最悪破壊してしまうのも選択肢かもしれません』
「そうだな...」
シトリンがそう分析する。
つまり、警備を強引に突破しても、内部のデータに影響はないということになる。
つくづく、あの防衛網を突破できない事を分かってやっていそうだ。
「とりあえず、ケインには付いてきてもらおう」
力持ちのファイスがダウンしたので、重いデータバンクを運搬するのはケインに手伝ってもらう。
流石に重要なデータにウイルスを仕掛ける気はない。
それは、ファイスの怪我が無駄になる行為だしね。
さて。
警備をどうやって突破するかは、もうアイデアがある。
カルセールで、警備システムの配電盤を打ち貫くのだ。
問題は、カルセールの威力が高すぎて、恐らく貫通し、あらぬものを傷つけてしまう事だ。
「...」
事前にシトリンに教えてもらった立体マップを参考にしながら、慎重に座標を合わせる。
そして、カルセールを構えた。
「......」
もし、警備システムが何らかの手段でデータバンクと繋がっていたら。
データが全てリセットされてしまったら。
ファイスのあの覚悟も、私の蛮勇も...全て無駄になる。
けれど...
「今はこれしかない...!」
私は引き金を引く。
カルセールのチャンバーが回転し、蓄えられた強力なエネルギーが放たれる。
それは、物理的な質量を持たないために、ほとんど反動がない。
しかし、何枚もの装甲と、何百枚もの壁を貫き、配電盤を貫通した。
『配電盤の回路に異常発生。警備システム全体の電力がダウンしています。バックアップ機構の存在は確認できません』
「その他の機構に異常は?」
『確認されません』
よし。
私はガッツポーズをする。
これで、内部へと突入できる。
「......ところで、シトリン」
『はい』
「爆薬の代わりになるようなものとかって、まだあったか?」
『......ミサイルであれば、可能かと』
「なるほど」
かなり命懸けな気がするけれど...まあいい。
ようやく、内部までの道が開く。
面白いと感じたら、感想を書いていってください!
出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。
レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。
どのような感想・レビューでもお待ちしております!
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




