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異世界の宇宙に船ごと転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜  作者: 黴男
シーズン3-ジスト星系編

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078-『この命に、意味はありましたか?』

秘密施設の着艦スペースに突き刺さるような形で、アドアステラは停止した。

砲台はそんなアドアステラをロックオンはしていたが、発射できないようで沈黙していた。


「着いた....の?」


最初に声を発したのは、アリアであった。

その声を皮切りに、ブリッジ内で安堵の溜息が響く。


「着いたんだね...!」

「ですが、艦長は....」

『船体が危険な状況です、艦長――――指示を!』


アドアステラはシールド0%、アーマー0%、HP99%.....つまり、ほぼ内部構造がむき出しの状態で転がっていた。

だが、カルはそんな事態に答えられる状況ではなく.....


『.....員、総員機関室に集合! ケインは担架を!』

「はい!」


カルの焦ったような声を聞きながら、ブリッジにいた面々は急いで機関室へと降りるのであった。




「.........」


この感情は何だろう?

なんとかファイスを床に下ろしたはいいが、ファイスはもう虫の息だ。

出血がひどい。

確実に内臓を損傷している。

......もう助からない。


「道具だったはずなのに」


最初はただ、乗組員という名の、道具だった筈なのに。

沸いた愛着も、お兄ちゃんへの無限の愛と比べたら、人形を愛でるようなものだと思っていた。

いつか彼らの精神が大人になったら手放す。

それだけの関係だったはずなのに――――


「どうしてこんなにも、苦しい?」

「.....主人」

「...ファイス」


その時、ファイスが口を開く。

声に生気はなく、苦しそうだ。


「主人は、我々を道具と呼びました。.....ですが。我々は道具”だった”のです」

「どういう事だ?」


私は訳が分からず、硬直する。


「商品として売られた私たちは、金儲けの道具に過ぎませんでした。誰にも同情されることもなく、誰に対して愛情を抱くこともない――――ですが、あなたは違った」


ファイスは言葉を紡ぐ。

そのたびに、命が零れ落ちていくようだ。


「あなたは、道具だった私たちにも愛情を注いでくれました。私たちは、貴方のお陰で、かけがえのないモノ.....自我を手に入れることができたのです。だからこそ――――」


そこでファイスは目を閉じる。


「進んで死にに行くようなあなたが、私には分からなかった......まだ、まだ......恩は返せていないのに。狼人として、きっと不義理はあってはならない事なのですから」

「ファイス....もう喋るな」


ファイスが目を開けて、私の方を見る。


「ですが、ようやく分かりました。貴方は常に、”挑み続ける人”だったのですね。成功して当たり前の選択肢を選び続ける限り、未来はない。.....それが分かっただけでも、この命に....いや。それはあまりにも傲慢でした。.....我が主人」

「やめろ」


ファイスは笑って言った。


「この命に、意味はありましたか?」

「.......無い」

「....えっ?」


私はマスクを外して、直接ファイスの目を見る。


「まだまだ働いてもらうぞ、死ぬなら働いて死ね! 俺の....いや私の為に! 私が死ぬより先に死んだなら、お前に価値なんかあるものか!」

「主人.......」

「命は捨てるな。その命は、捨てるものではない。私と共に歩むためにあるものだ。いいな?」

「....分かりました」


その時、担架を持ったケインが機関室に飛び込んできた。

私はケインを手で制する。


「待った、まだ放射性物質が残ってるかもしれない」


換気システムは完璧だが、空気遮断を超えたら被曝なんて目も当てられない。

私はケインを下がらせて、担架にファイスを乗せた。

スーツのアシスト機能を使いながらファイスを機関室手前の部屋に運び、そこで洗浄する。

そして、ケインと二人で医療室まで運ぶ。

絶対に死なせはしないからな。


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