076-突入・秘密施設防衛網(後編)
アドアステラは急速修復を受けながら、砲台群の中を突き進む。
機械の予想を超える機動を取りながら。
慣性制御により、船内に影響がないのをいいことに、カルはアドアステラをバレルロールさせながら被弾を減らしつつ、右の隙間に逃げ込んだ。
「くっ!!」
アドアステラは直角に降下し、そのまま速度を落とすことなく再び右に曲がる。
そして、砲撃を躱しながら砲台を薙ぎ払う。
『シールド2%、アーマー42%、HP99%、キャパシター電力31%』
「キャパシターの充電が必要だな....」
カルは呟くが、今はあまりに危険すぎる。
艦内は火災が発生しており、あちこちが隔壁で隔離されている。
『左翼に被弾、第三ミサイル発射管が大破』
「ミサイルを抜け! 誘爆するぞ!」
「はいっ!」
全てのシールドは、機関部へと集中させている。
よって、砲撃は全て筒抜けである。
「くうっ...!」
「きゃあああ!!」
アリアが叫ぶ。
砲撃が艦橋のすぐ横をかすめたのだ。
「落ち着け! ここにいる全員、誰か一人でも死ぬときは、皆が死ぬ時だ!」
カルは叫ぶ。
そして、パルスレーザーで砲台を片付けていく。
四分の三を通過し、カルがあと少しだと思った時。
「.....ッ、今度は何だ!?」
「パワーコア隔壁が融解! 放射線が、機関室内部に!」
更に悪い事は続く。
「....それから、キャパシターの残量が5%に低下! これ以上は、艦内の各種設備を維持できません!」
「.....!」
キャパシターがなくなれば、航行すらできなくなる。
それはつまり、死ぬという事だ。
「.....主人」
「何だ?」
カルは、声を上げたファイスが何を言うか、理解していた。
だからこそ、その声に不機嫌さが混じった。
「.....私が、キャパシターのバッテリーを繋げてきます」
「俺が、行かせると思うか」
「私は学びました。仕えるものとして、どうあるべきかを。そして、あなたの”戦いと覚悟”に、今身を以て応えたいと思います」
カルは悩んだ。
その一瞬は、永遠のようであった。
未来を取るか、部下を犠牲にするか。
「.......だったら、答えは一つだけだな――――シトリン、操縦を頼む! 指揮もだ! レーダー係は一時的に解任する!」
『了解しました』
「主人....何を...まさか!?」
私は胸を張って宣言する。
「さあ、行こうファイス! 戦いとは覚悟だから....俺とお前は、共に行くべきだろう?」
「.........はい! どこまでも、お供します!」
戦いに覚悟は。
覚悟に戦いは。
それぞれ、切っても切れない縁がある。
「任せた、皆。かならず生きて帰って、アドアステラを修理しよう!」
「「「了解!!」」」
『御武運を』
正直なところ、生きて帰れるかは分からない。
ファイスはロートラ狼人の放射線耐性があるとはいえ、私はスーツの防護性能に期待するしかない。
とはいえ、ここで怯えていたら、どっちにせよ死ぬ。
大丈夫、最悪お兄ちゃんに会えるだけの寿命が残っていればいいから――――
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