072-パワードスーツ
フォービュラⅠに降りた私は、閑散としたイメージを覚えた。
科学技術を感じる先進的な街並みだが、人がとにかくいない。
「さて、店は....少し歩くぞ」
「はい、主人」
私とファイスは、フォービュラⅠの街を歩く。
シャッターを閉じた店が多く、広めなゆったりとした車道も、車が通る様子が無い。
「何があったんだ?」
「分かりません」
そりゃあ分からないか。
私たちは1kmほど歩き、目的の店の前に着いた。
『いらっしゃいませ』
中に入った私たちを出迎えたのは、やはり人ではなくアンドロイドだった。
私はまず、用件を伝えることにする。
「ボディスーツ型のパワードスーツを購入したいのだが、実地購入だと不安でな。それから、ひとつ内密にしたい話もあるので、実地購入する事にした」
『そうですか...でしたら、中へお進みください。責任者が対応いたします』
「ああ」
私とファイスは、中へと進む。
すると、浮遊するモニターが、私たちを応接室らしき場所まで案内してくれた。
『こんにちは。私が責任者の、アッシャー・ネイトです』
「遠隔映像か....」
『気を悪くしたなら申し訳ございません。何しろこのフォービュラ星系は、治安が悪い事が周知の事実。身を隠しながら経営するのが、常識なのですよ』
「済まない。愚弄したわけではない」
『それでは、商談を始めましょうか?』
「そうしよう」
こうして、商談は始まった。
『実地購入という事は、対象商品の質感や仕様を詳しく知りたいという事ですね?』
「そうなるな....可能か?」
『勿論です。これがその品物ですね』
私の前に、畳まれたスーツが出てきた。
持ってみると、そこまで重くないのが分かった。
『そちらのスーツは軽量版....つまり、日常生活でも着用することを想定しています。常在戦場の心がけは、宇宙に出る人間なら誰しも持つべきものですから』
「他のものはあるか?」
『勿論です』
私の持っていたスーツが回収され、またロボットアームが新しいものを持ってくる。
こちらは少し重めで、動きにくい。
『こちらは戦闘用で、普段着には適していません。ただし、こちらは耐久力も高く、値段も張りますが....そうですね、社内実験では相当の衝撃に耐えられると思います』
「.....オーダーメイドは出来るか?」
『ええ、可能ですよ』
「少し、相談したいのだが....」
私は、相談の旨を伝える。
性別を隠していること、それを守れるかという事を。
『おや? 何故隠されているのでしょうか?』
「女だと舐められそうでな」
『....殆どありませんが、無いとは言い切れませんね....構いませんよ。本社はお客様の個人情報については厳重に管理しますから』
「助かる。それで...値段と、どれくらいで出来るのかを教えてもらえるか?」
『計測などがここで行えるので、お帰りの際にお願いします。値段は見積もりですと..........これほどですね』
120万MSC。
アンドロイドよりは高いくらいだな。
お値段が張るというのは間違いないようだ。
「大丈夫だな。どれくらいで届く?」
『四日ですね。製造には二日、輸送依頼を出すまでに二日です』
「そうか」
大丈夫そうだ。
私は頷くと、話を終わらせる。
「よし、購入する。採寸を頼む」
『これからもよろしくお願いします。では、こちらへどうぞ』
入り口とは別の扉が開く。
そこに、私は入った。
『服は脱いでくださいね、ここからはアンドロイドがご案内します』
「ファイス、済まないが待っていてくれ」
「はっ」
ファイスを置いて、私は部屋の中へと入るのだった。
面白いと感じたら、感想を書いていってください!
出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。
レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。
どのような感想・レビューでもお待ちしております!
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




