070-制圧戦(前編)
海賊艦隊は、瓦解しつつあった。
フォービュラ星系から移動して、大艦隊でジスト星系を襲う。
その計画だったはずなのに、TRINITY.まで出張ってくるのは予想していない。
『TRINITY.のクソ野郎どもが!』
その時、海賊艦の一隻が、TRINITY.の艦隊に向かって砲撃する。
しかし直後、その船体がバラバラになって崩壊した。
TRINITY.の本来持つ特殊武装...『ラクスレイズ』によるものだ。
シールドや装甲など容易に貫通する一撃の斉射を浴びれば、海賊艦など容易に沈められる。
だが勿論、TRINITY.艦自体も脆い。
それをカバーするように、星系軍が前に出る。
機動性こそ無いものの、その硬さは流石に軍艦であるために保障されている。
『カル、これからどうする気だ?』
ネメシスの艦長である、アルゴが発言する。
『まずは奴らの主戦力である、大型艦を叩く!』
『小型艦はどうする気なんだ、あいつらは結構厄介だろ』
カルの主張に異を唱えるアルゴだったが、同時に納得して撤回する。
『あ...そうか、TRINITY.がいるんだったな...』
TRINITY.であれば、小型艦の相手など容易い。
そう判断したカルは、サブシステムを攻撃・防御・遠隔・妨害・推進に割り振って、敵艦へと接近を開始した。
それと同時に、ネメシスもアフターバーナーを起動し、アドアステラの後ろについていく。
『どうして付いてくる?』
『一緒に戦っても構わないよな?』
『...好きにしろ』
ネメシスは特殊な艦艇だ。
それは、カルもわかった。
既存の戦艦と、船体の傾向が一致しないのだ。
だからこそ、アドアステラにも追い縋れる性能があるかも知れないと。
「散々プライドを傷つけやがって...カル、俺はお前には絶対負けないぜ」
ネメシスはアドアステラの攻撃していない艦艇にターゲットを合わせ、ミサイルを同時発射する。
ネメシスにはありとあらゆるミサイルが満載されており、船自体も、ミサイルの射撃に特化した装備である。
戦略巡洋艦の名の通り、アドアステラと同じ巡洋艦であるが....
「よし、直撃だ!」
中型艦のシールドが崩壊して、そこに本命である魚雷が突き刺さり起爆する。
だが、その横にいた艦に、レーザーの一撃が貫通して撃沈する。
「クソッ! 次だ!」
アドアステラだけではなく、ネメシスにも砲撃が行くものの、変速機動で飛行するネメシスにはほぼ当たらない。
それでもミサイルは当たるため、シールドが刻一刻と削れていく。
「カルに迷惑はかけられねぇ....離脱するか...」
アルゴは離脱する決意を固めたものの、すぐに思い出す。
「...いや待てよ」
アルゴは古臭いコンソールにある、赤いボタンを押す。
直後、機体の下部から放たれたミサイルが、飛んできたミサイルに向かって誘導して起爆し、ミサイルを撃墜した。
「このための迎撃ミサイルってわけか!」
アルゴはにやりと笑うと、前方を飛ぶアドアステラを見た。
だが直後、シールドが回復し始めていることに気が付いた。
「何だ....?」
周囲をスキャンしたアルゴは、ドローンがシールドの出力を回復していることに気が付く。
「何だよ....俺はライバルですらないってか!」
アルゴは怒りつつ、戦闘を続行するのであった。
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