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異世界の宇宙に船ごと転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜  作者: 黴男
シーズン3-ジスト星系編

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068-大戦闘(前編)

「戦闘機動を開始する!」


カルが叫ぶと同時に、アドアステラは加速を始める。

そして、密度の薄いゲートの左翼に向けて突撃し、艦船の間をすり抜ける。


『速い!』

『舐めた野郎を撃ち落とせ!』


海賊側は、アドアステラをロックオンしようとするものの――――

そのロックオンが上手く行かず、右往左往する。

アドアステラに搭載された妨害カーネルが、ロックオン分解装置の効果を高めているのだ。


『照準データを送信』

「照準よし、撃て!」


攻撃カーネルによって極限まで増幅・集束された砲撃が、一隻の戦艦に突き刺さる。

レーザー砲撃はその艦体を貫通し、戦艦は火を噴いて爆散した。


『ロットがやられた!』

『くそ、囲め囲め!』

「SWD起動!」


全速力で迫ってくる戦艦群を、アドアステラは亜光速で引き剥がす。

そして、すぐさま反転して攻勢に移る。


「全砲門開け!」


アドアステラを全速で追っていた艦隊は、横に避ける選択肢ができない。

その隙に、アドアステラの砲撃が放たれ、光線が数隻を貫通して撃沈させた。

速度を維持したまま、アドアステラは縦に伸びた海賊の艦隊の真横をすり抜けていく。


「パルスレーザー発射!」


パルスレーザーが横を向き、至近距離の威力を高めるクリスタルによって変調された破壊光が、海賊艦のシールドを削っていく。


「ノルス、SWD停止! アフターバーナーに切り替え!」

「了解!」


アドアステラは素早く回頭し、速度を上げつつ距離を取る。

海賊の艦隊も、ちまちまと削られていることに苛立ち、


『てめえぇえええ!!』

『ぶっ殺してやる!!』


性懲りもなく、アドアステラに向かって突撃してくる。

その光景に、カルは――――


「馬鹿の一つ覚えだな、美しくない」


そう言い放った。

彼女の敬愛する兄の、頻出度22%のレア名言である。


「スマートミサイル発射!」

「はい!」


自動追尾型のスマートミサイル(フラグメント弾頭)が放たれ、短射程ながら音速で飛翔し、破片をばら撒いて、先行艦のシールドを剥がす。


「アデュー」


そこに次弾が突き刺さり、シールドの消失していた先頭の艦隊は、残骸へと早変わりを遂げた。

アドアステラは残骸をシールドで押しのけ、冷酷に海賊艦へと襲い掛かるのであった。


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