067-誰かにとっての希望
ゲートを抜けた先は――――
「こっちもか!」
途轍もない数の大艦隊。
ただし、こちらは包囲陣系ではなく、バラバラの状態で浮遊している。
「ハイパージャンプで離脱する!」
「了解!」
ワープしている時間はない。
そう判断したカルはハイパードライブを起動し、アドアステラは遠方へとジャンプした。
『クソッ!! 逃がすな!』
『ダメだ、ワープじゃない、どこに行きやがった!』
海賊たちは、ジャンプアウトしたアドアステラを追おうとするが、航跡の残らないジャンプを追う事は出来ず、慌てる事しかできないのであった。
「.......よし」
ジャンプフィールドを抜け、アドアステラはフォービュラの何も無い空間へ放り出される。
カルは離脱したことに対して、屈辱を覚えたりなどはしなかった。
「皆、これから先は、本気の戦闘だ。気を抜けば、全員が危うい」
アドアステラは一騎当千をするような船ではない。
そういう船は、より巨大で高価なものだと、カルは知っている。
「この船は遥かに高度な技術で作られたものだが、それは十倍、二十倍の数に対応するものだ。百を超える相手に渡り合えるかどうかは分からない」
「......主人」
ファイスが口を開き、カルに言葉を放つ。
「主人はそのように、弱気な事を言う人間ではないはずです」
「そうです、御主人」
ノルスも便乗し、席を立つ。
「此の身を枷から解き放ち、自由と目的を与えてくださったのはあなた自身です。何を弱気になる必要があるのですか?」
「......よく分からないですけどっ...ご主人様なら、絶対負けません!」
アリアもそれに賛同する。
ブリッジにケインはいないが、カルはその光景の中で、ケインを幻視した。
「......では、行こう!」
カルはローブの裾をバッと翻し、自分のコンソールに向かい合う。
『戦闘モードへ移行。サブシステムオンライン...攻撃、防御、電子、遠隔、推進、妨害、モジュールカーネルに動力伝達』
「ワープドライブ起動」
決意を胸に、再びアドアステラはゲートへとワープする。
「今回はフォートモジュールは使用せず、機動戦でカタを付ける。....ノルス、アリア。頼むぞ」
「はっ!」
「はい!」
二人は頷く。
そして、アドアステラはゲート前へと到達したのだった。
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