058-第二都市シュラク
というわけで、私たちは孤島で一夜を過ごした。
こう書くとまるで無人島に漂流したようだが、それはあんまり間違ってはいなかった。
「なるほどね、これが贅沢って事なんだ」
「海風が気持ちいいですね、主人」
島にはドックと船の整備施設、一年分くらいの物資がある地下倉庫と、昔ながらのログハウスがあるだけだった。
しかし、星間国家ともなると...こういう自然に限りなく近い環境は、贅沢なのかも知れなかった。
「さて、今日はどうするか...」
「昨日お話ししていた、研究成果物の市場に行かれては?」
「そうするか...」
わざわざアドアステラを飛ばす事になるが、降りる場所がない。
どうするかと悩んでいたが、その時着信があった。
『やぁ』
出ると、昨日話した声が聞こえてきた。
「どうした?」
『いやぁ、昨日惑星に降りたらしいけど....泊るところが無かっただろう?』
「ああ、知り合いのプライベートエリアを借り受けた」
『そうか....まあいいだろう、ライズ・コンソーシアムの入港施設の権限をメールで送ったから、ぜひ使ってくれ。期限は一か月後だから、更新を忘れたらもう入れないよ』
「分かった」
一か月後には多分ジスト星系にはいないので、これは意味のない通告だ。
「ありがとう、助かった」
『父親の事を聞いたからでもある。こちらこそ、ありがとうさ』
口調こそ軽いが、その「ありがとう」には確かな重みがあった。
同居こそしていないけれど、家族の情は確かにあるんだろうな。
『出来れば、父の頼みは聞いてやってほしい。最近ジスト星系は騒がしいからね』
「報酬さえ約束されるのならな」
『はは、オルトス軍は支払いだけは自信ありだよ』
それ以外の自信はないのか....?
一瞬疑問に思ったものの、深掘りをするのはやめておいた。
アドアステラは再び長い距離を飛び(大気圏内ではワープできない)、大陸側にある第二都市シュラクへと戻ってきた。
「夜も見ましたが、都市の美しさは昼間こそ輝きますね」
ノルスがしみじみと呟く。
ケインとアリアは持ち場を離れて、窓にべったりだ。
まあ、それもちょっとだけ分かる。
夜は整然と並んでいた建物だが、窓ガラスに映像が投影されていて、私にはわからないオルトス語で何かの研究所の宣伝らしきものが出ている。
「昨日調べていたのですが、ここジストⅡの第四都市ドディクシアでは、大規模な研究者養成機関があるそうです」
「学んでみたいか?」
「.....もし、アドアステラを降りるときがあれば、御主人」
「...そうか」
終身雇用だが、私が帰る時はノルスに学費を出してあげよう。
きっと良い研究者になれるはずだ。
「降りるぞ.....」
微妙に船を入れにくいライズコンソーシアムのドックに船を慎重に入れる。
ぶつけたら、傷付くのは向こうの建物の方だからね。
そこからは、昨日とほとんど変わらない。
ガントリーの上に船を降ろしてロックさせ、出てくるタラップを待つ。
「船を施錠するから、シトリンは残ってくれ」
『はい、行ってらっしゃいませ』
行くのは私、ファイス、ノルスの三人で、何をやらかすか不安なケインと人混みが苦手そうなアリアと、特に面白く感じることもないだろうシトリンは置いていく。
二人の子守りと、艦の整備をお願いしておいた。
面白いと感じたら、感想を書いていってください!
出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。
レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。
どのような感想・レビューでもお待ちしております!
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




