057-ジストⅡ
用も済んだので、アドアステラはジストⅡへ降下した。
ライズコンソーシアムから通行手形的なものも発行してもらったので、惑星に入ること自体は特に問題が無かった。
問題は.....
「どこに降りようか」
「.......分かりませんね」
ジスト星系は、産業星系とも呼ばれる場所で、研究・開発・製造が盛んなのだ。
だが、その弊害か......着陸できそうな場所がほとんどない。
殆どのドックが何かしらの企業所属で、そこに所属していないと入港できないのだ。
「あまり上空に留まり続けるのもよくないが.....」
その時、私の目にとある文字が映った。
「....ここにしよう」
即断即決。
そこの名前は、「TRINITY.プライベートドック」だった。
すぐさま光速リレー通信でアレンスターに連絡を取る。
『どうした、カル....久々だな』
「突然で悪いが、ジストⅡのTRINITY.四番基地に俺が降りることを伝えてくれないか、他に降りる場所が無くてな」
『ああ....それくらいなら....いや待て。それは職権濫用だな』
ちっ。
くされ警察官の癖に、変なところはしっかりしている。
『だから、代わりにうちの別荘のドックを貸してやる。マップに今から言うIDを打ち込め』
「ああ....すまない」
『掃除はしてないからな、そっちで掃除してくれ.....899211だ、間違ってたらもう一回かけてくれ』
そう言うと、アドアステラのシステムにプライベートドックの権限が付与された事を示すメッセージが流れてきた。
地図にIDを入力すると、孤島らしき場所にあるプライベートドックが表示された。
「ここに行くぞ」
「「「「了解!!」」」」
アドアステラは雲霞の下へと高度を下げる。
すると、ブリッジから街が見えた。
「凄いな」
同じデザインのビル群が、整然と並んでいる。
もう夜だというのに、ビルのほとんどの窓は光を発している。
ビル群の外縁部には、防壁に守られた研究区画がある。
万里の長城みたいな大きさの防壁からは、トラムらしき鉄道の路線が飛び出していて、それは地下に入り込んでいる。
「速度を上げるぞ」
だが、のんびり見ている暇もない。
アドアステラが加速すると、その風景もあっという間に後ろに向けて流れていった。
アリアとケインが少しだけ残念そうにしていたが、
「大丈夫だ、写真は撮ってある」
私は二人の席に、撮影した都市の動く写真を表示する。
二人がそれに夢中になっている間に、アドアステラは更に高度を下げていく。
そして、水平線の果てにある――――ブライトエッジ子爵家所有の孤島に向かう。
「見えてきたぞ」
数十分も飛べば、地図上にある孤島の表示と重なった。
すぐに警備システムに着陸申請を行い、即座に受理された。
島全体に灯りが付き、権限を持つ私たちを出迎えていた。
「降下する、衝撃に備え!」
「「「「はい!」」」」
アドアステラは逆噴射を掛けながら、ジストⅡへと降下するのだった。
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