056-R.I.S.E.C.
それから二日後。
アドアステラはジストⅡライズコンソーシアム支社ステーションの周囲にワープした。
一度カースを降ろしてから、宿泊と買い物のためにジストⅤに立ち寄っていたため、二日遅れての到着である。
『こちらジストⅡRebuid Industry Survey Experience...RISE・Consortiumのステーション管制室、入港許可の申請理由を聞こう』
『ブライトプライムから、荷物を届けに来た』
『....! 分かった、誘導灯に従ってドックインしてくれ、すぐにスタッフが向かう』
アドアステラは誘導灯に従い、開き始めたドックに入港する。
そして、しばらく進んでから停船する。
下から現れたガントリーがアドアステラを固定し、アドアステラのハッチの位置に合わせてタラップが降りる。
アドアステラの後部ハッチが開き、そこからカーゴコンテナを積んだ作業ドローン「アトラス」が現れ、それをタラップの少し下まで運ぶ。
「やぁやあ.....こんな辺境まで、どうもありがとうございます」
「ごほん....報酬さえもらえるのであれば、構わない....ところで、その中身は?」
「ここまで運んでくれたのなら、中身を見せても構わないか.....艦長、君だけ着いて来てくれ」
「.....護衛は?」
「拘束するつもりなら、銃を先に預かるさ」
カルは、責任者らしき男のIDタグを見る。
そこには、「カナード・カスクレイ」と書いてあった。
「.....あの准将の息子なのか?」
「おや、爺さんに会ったのか....うちの父さんさ、私に軍人の才能はなかったがね」
意外な関係性に驚きつつ、二人は長い通路を抜ける。
その先は、ロビーらしき場所だった。
巨大なLISECのロゴがホログラムで映し出されており、壁面には協力研究所のロゴが並んでいた。
「ウチはRebuid Industry Survey Experience-Consortiumだから、ライズよりライセックって読んだ方が正しいんだけど、中々広まらないんだ」
「上に行くのか?」
「ああ、上に研究施設がある。そこで話をしようか」
二人はエレベーターに乗り込み、そこで数秒間沈黙の時間を過ごす。
ポーンというチャイムと共に扉が開き、二人の前に長い廊下が見えた。
廊下には扉が並んでいた。
「機密保持の一環でね、少々殺風景だが.....」
「ああ、構わない....シンプルなのは好きだ」
二人はしばらく歩き、カナードのIDで研究室へと入った。
扉が閉まり、再び廊下は静寂を取り戻した。
カーゴの中身は、酷く損傷した何かの機械だった。
慎重に包装されていて、カース二世....じゃなくてカナードはそれを机の上に置いた。
「.....これは?」
「知らないかい? これはね、眠りし者のドローンの残骸さ」
「ドローンなのか?」
「ああ、それは間違いないよ。スリーパー本体と違って、意思のある存在ではないようだからね」
話を聞くと、眠りし者はある程度のアルゴリズムに従って動いているらしく、そうでないのがドローンらしい。
「この残骸に意味はあるのか?」
「あるさ。TRINITY.の標準装備も、古代遺物をサルベージしたものだからね、このドローンに使われている動力機構と、兵装を解析できれば、ライズコンソーシアムに大きな利益となる。......本来ならもっと時間がかかるものと思っていたから、君には報酬を弾まないとね」
「そうか」
やった。
仲間に分割して払うので、私の取り分がちょっとだけ増える。
「.......そうだ、これをあげよう」
その時、カナードがポケットを漁り、少し汚れた電子チケットを取り出した。
「これは...?」
「ジストⅡの研究成果の販売所のチケットさ、興味があったら行ってみるといい」
「忝い」
私はそれを受け取ると、研究室を後にした。
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