055-ジスト星系到着
「済まないな.....」
「それより、何があった?」
船から助け出せたのは、たった一人だけだった。
初老の男で、階級章からオルトス軍所属だと分かる。
「...すまない、機密でな」
「そうか...だが、敵の名前くらいは...」
私は何も聞かないのも不自然なので、問い詰めるように軍人に顔を近づける。
不気味なマスクに近寄られたのが脅しになったのか、軍人は口を開く。
「眠りし者だ.....」
「それは....この辺に出没するのか?」
中規模の艦隊をほぼ壊滅させられる敵には、出来れば出会いたくはない。
だが、軍人のお爺さんは首を振る。
「いいや.....最近になり、この辺に出現し始めたのだ。だが....何故攻撃してきたのか、さっぱりわからない」
「何か攻撃を?」
「いや....そんな事はしていないし、ワープ中に突然ワープが止まって襲われたのだ」
「........」
ワープ妨害も持っているのか。
「....ところで、眠りし者とはなんだ? 俺は辺境出身でな」
「...古代の置き土産だよ、Ve’zという勢力から分かれた、非攻撃、反撃のみ....のはずの勢力なのだが...」
ホットミルクを飲みながら、お爺さんは溜息を吐いた。
「.....ところで、貴殿の名は?」
「俺はカル・クロカワ。....お前は?」
「儂はゼーレン・カスクレイだよ、これでも准将でね」
准将。
かなりのお偉いさんだ...
「カスクレイ准将」
「ははは、カースで良いとも。...それよりも、この船はどこへ向かう予定だ?」
「ジスト星系だが...」
「よし、ならジスト星系にある、星系軍第四ステーションで降ろしてくれ。助けてくれたお礼は軍で何か融通しよう...もし申請が通らなければ、儂が個人で用意する」
「そうか」
先を急いでいるのに、何か厄介な依頼を受けてしまったような気がする。
けれど、眠りし者.....少しだけ、危ない感じがした。
『艦長、ジストのスターゲートへと到着しました』
その時、ファイスの声が響いた。
「君の船は中々に速いね」
「詮索は無用だ」
「勿論だとも....ただ、軍人になる気はないかね?」
「...生憎、果たすべき命題が俺にはある」
軍人になっても、お兄ちゃんに会えるわけではない。
それならむしろ、Ve‘zとやらに会って、異世界に飛ばしてもらいたいものだ。
「......昔、君の腰にある銃と似た物を持った男を見たよ」
「...そうなのか?」
へえ、結構有名人なんだ。
「当時は畏れ多くて勧誘などできなかったが、君なら勧誘しても問題なさそうだ。儂の目が黒いうちはいつでも大丈夫だ、何。君ならすぐに昇進できる」
「大丈夫だ」
「そうか」
カースと話し合っているうちに、船はジスト星系へと辿り着いていた。
危険な船旅の目的地へと。
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