255-レイヴ
私は船にファイス以外の全員を残し、ガヴェインのアジトに入った。
襲われるかと思ったけれど、意外にも誰も私たちに危害を加えることはなく、すんなりと一番奥の部屋へと案内された。
首領は二人の大男を連れて、ソファに座っている。
「ロートラ狼人と仮面の男か.....中々に錚々たる面子だな」
「そっちこそ、ダラト人の護衛二人を連れて、警戒態勢と言った様子だな?」
首領と私は、とりあえず言葉を交わし合う。
彼は意外にも子供染みた背格好と顔だったが、私はこの風貌に騙されるほど愚かではない。
「それで、ガンズ種族のお嬢様が、この俺を試すような真似をする意味を教えてもらおうか」
「ほう、そこまで見抜くか」
ガンズ種族、ガンズ星系の第三惑星に住まう民族で、歳を取らない。
ただ、撮らない理由は遺伝子に英雄があるらしいけれど、その研究は全然進んでないらしい。
前世でいうエルフみたいな感じだ。
女性なのは完全に勘、こうして立ち会って初めて、男装してからわかった僅かな差からわかった。
「俺はレイヴ・サトマエル。このガヴェインの首領さ」
「カルだ」
「座りな」
私とファイスは、大男の一人が部屋の端から持ってきたソファに腰かける。
腰が沈み込むいいソファだけど、同時にリラックスするソファではないとも感じた。
「それで、何故試したか? だろう?」
「ああ」
「アンタが一戦やらかそうとしていて、俺らはそれを知っている。そこでだ、アンタも戦力が欲しいんだろ?」
「...ああ」
レイヴはそこでニマリと笑う。
打算を感じる表情だ。
「アンタが主力艦を吹っ飛ばしたのは有名だ。アンタが目的を完遂したら、俺たちと協力して奴らの拠点をブッ潰す、これでどうだ?」
「文句はないな」
だけど...都合が良すぎる。
いくらこちらが最大の戦力とはいえ、それで動くのは...変だ。
「もともと仕掛ける準備はしてた。地方に飛んでる奴らを集めるところだったが、一騎当千の新進気鋭のプラチナ傭兵様が味方につくなら確実だ」
「信用できないな」
「ああ、分かってる。だが俺たちも、一端の...海賊もどきだ、法律は守らなくても、契約だけは守る。」
信用することはできないけれど、相手に信用させることは重要か。
私は途中で受け取った土産を差し出す。
「こいつは?」
「知ってるんだろう? コードネームC.C.を。その最新技術を土産に持ってきた」
「中身は知っているのか?」
「知らないな」
「ということは本人とコネがあるクチか、厄介だな」
何から判断したかはわからないけれど、レイヴは考える素振りを見せた後、席を立つ。
「おい、代わりに開けろ」
「「はい」」
大男二人が動き、レイヴを庇うようにしてコンテナを開ける。
気圧差による気流の動きが少し感じられたけれど、特に問題はなく中身が現れる。
「こいつは...見た目じゃ分からんな、だが確実に見たことがないものではある...いいだろう、こんな価値のあるものを貰ったんだ、そっちが信用しなくてもこっちは信用する。」
「いいだろう」
「部下どもはあんたらの実力をよくわかっている、帝国騎士に勝ったんだろう? それでも向かってくるの地上の奴らの方が精鋭だからさ」
「ああ」
私は納得した。
地上を守るからには精鋭である必要があり、ここでは船に乗って強ければいい人材が揃っているのだろう。
「部屋を用意させよう、それから専用のドックも。あんた達は船を改造したいはずだ」
「...よく、分かるな」
「あんたらの船、改良を続けていることは知っている。敢えて秘密をのぞく気はないが、覗かれたくも無いだろう?」
「ありがとう、助かる」
「礼は結果で示せ、カル」
こうして。
私たちはマフィアと手を結ぶことになったのだった。
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