248-アンストッパブル
飛翔する大型機体は、都市を横切る。
警察の車両がその周囲を飛ぶが、警告のようなものは飛ばしていない。
カルはそれに疑問を抱くことはない。
もともとグルなのだろうと考えているからだ。
機体の上部によじ登ったカルは、コックピットへの入り口を探す。
上空は強風が常に吹き荒れており、カルはそれに吹き飛ばされそうになりながらも、ハッチを発見した。
ニケを撃ち尽くしてハッチを破壊、シールドのエネルギーパック....今は不要となったが、装填用のスペースをバッテリー入れにしている.....を取り出し、ニケに素早く装填する。
そして、中へと侵入。
シールドを展開したまま、中の通路を埋め尽くした弾丸の嵐を防御しきる。
そして、シールドを変形させ、その隙間からニケで射撃する。
「悪いな、押し通る!」
精密射撃で、流れ弾で手や胴体を多少犠牲にしながら相手の銃を破壊、そのまま半歩で距離を詰め、一人を殴り飛ばし、もう一人の襟首を掴んで壁に叩きつけて気絶させた。
脳震盪を起こしたもう一人を、肘鉄で昏倒させたカルは、カルセールで扉を吹っ飛ばし、コックピットに侵入する。
「なんだっ、テメ――――」
「クソッ、カルか!」
「ご名答!」
最初に応戦した人間を、そのままカルセールで撃ち抜いたカルは、もう一人が構えたライフルを見て、カルセールの吸収モードを起動。
フルオートでバラ撒かれたビームを全てエネルギーとして吸収し、撃った二発のうち一発を回収した。
カルはカルセールを、もう一人に向け――――唐突に手放した。
「ク――――ぎゃばっ!」
「素人....?」
男の視線がカルセールに向いた次の瞬間。
カルのグローブに包まれた手が、その顔面を強烈な衝撃を以てして殴り飛ばした。
顔面が陥没し、蹲る男。
そこに容赦なくニケでトドメを刺したカルは、コックピットを操作する。
「よし、これで機体制御を――――何っ!?」
機体を安全に降下させようとしたカルだったが、唐突に機体の制御が遠隔でオーバーライドされ、荷台の分離プログラムが作動した。
カルの視界の端で、荷台が落ちていく。
「あいつら....ッ!」
『自爆プロトコル始動、0』
直後。
大型機体は動力炉を自爆させ、内側から吹き飛んだ。
カルはシールドを球状に展開し、機体の残骸から姿を現す。
「まずいな.....」
もう地上に降りる手段はない。
このままだと、落ちる機体と共に運命を共にするだけではなく、荷台の中にいるソフとアリアも死んでしまう。
そう思っていたカルだったが、そちらの方はたった今問題なくなった。
大型機体の真下を、中型艦が駆け抜け、その甲板に荷台を収容したのだ。
上を見上げれば、艦隊が降下してきていた。
「戦艦!? 大事にし過ぎでしょ!?」
最早敵は、カルという怨敵の家族を人質に取るためならばあらゆる犠牲を問わないのだ。
事態を甘く見ていたと、カルは歯噛みする。
だが、その時。
『マスター!』
「シトリン!」
後方から現れたアドアステラが、落下する機体に横付けする。
カルはワイヤーフックをアドアステラの艦底部に付け、アドアステラから飛んできたドローンの上に乗って甲板に上がる。
周辺を飛んでいた艦が、一斉にアドアステラに向けて発砲する。
それをシールドで受け止めたアドアステラは、反撃のため砲塔を旋回させる。
「待て! 撃つな! 市街地に被害が出る! ミサイルで仕留めろ!」
『了解!』
アドアステラのビームは、”貫通”する。
飛んだ先で何に当たるか分かったものではない。
ミサイルを連射し、アドアステラはその周囲の敵を殲滅する。
「ロガーヘッドを出せ! それに乗る!」
『了解!』
「後からついてきてくれ、航空支援を!」
『はい!』
射出されたロガーヘッドの上にしがみついたカルは、そのまま逃げる中型艦へ向かう。
アドアステラからECM攻撃が即座に放たれ、中型艦は対空武装を展開できない。
「返してもらうぞ!!」
最強の巡洋艦と、怒り狂う艦長が敵に迫る。
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