246-追 跡
ホテルまで戻った私は、泊まっている部屋辺りから黒煙が巻き起こっているのを見た。
運転手にお金を払うと、急いでロビーに飛び込んだ。
「お、お客様!?」
「あの部屋に泊まってる客だ、上に上がれるか?」
「分かりません、まだテロリストが残っているかも――――」
「大丈夫だ!」
私はスタッフの制止を振り切ってエレベーターのボタンを押して、一気にその階まで上がる。
ボタンと反対側の裾に身を隠し、扉が開くのを待った。
扉が開くと、すぐに数人が入り込んできた。
「はあっ!!」
「なっ、こいつ!」
盾を展開したまま、ニケを抜いて侵入者たちを撃つ。
多分致命傷で死んではいないけど、この場合動きを止めれば問題ない。
「みんな!」
部屋に飛び込むと、そこではラビが首四字固めで侵入者を倒しているところだった。
私に気付くと、ラビは侵入者を蹴り飛ばしてこっちに向かってくる。
「カル!」
「ラビ、大丈夫!?」
「大丈夫....だけど」
ラビは何か言いづらそうな様子だった。
私は奥に進む。
そこでは、ファイスが蹲っていた。
激しい戦闘の跡があり、人間が複数人倒れている。
その中にはノルスとケインが座り込んでいた。
「....ケイン、ソフとアリアはどうしたの!?」
「....ごめん、なさい....」
「その、ごめん、カル.....二人は攫われちゃって.....」
「追おう」
「えっ?」
私は追跡アプリを起動する。
「こんな事もあろうかと、追跡装置をソフには持たせているんだ、ファイス! 行くぞ!」
「私も行くよ!」
ソフは、この文明社会の中ではまだ足取りが覚束ない。
いつ誘拐されるか迷子になるかもわからないので、追跡用の腕輪を渡している。
そのまま攫ったなら、場所が分かるはず。
ファイス、ラビと共に下へ急ぎつつ場所を見ると、道路の上を点が高速で走っているのが見えた。
今ならまだ間に合う。
「ところで、どうやって追うつもりなの!?」
「勿論、シャトルを使う!」
「そっか、緊急用の手動制御モードを使う気だね!」
シャトルは、制御コンピュータが破損ないし故障した際に備えて、手動で動かせるようになっている。
勿論、解除は業者に頼むことになるけれど.....
ホテルの地下まで降りた私たちは、シャトルに乗り込むと緊急制御ボタンを、カバーを破壊して押し、一気に飛び出した。
「上昇する!」
「ちょっと、違反じゃない?」
「今はいい!」
シャトルを急上昇させ、私達は都市の上空に飛び上がる。
速度を上げて、斜めに落ちるように、敵との距離を詰めた。
「いた!」
高速で突っ走るトラックの中にいる。
私はシャトルを更に降下させ、皆に作戦を伝える事にした。
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