243-奴隷商店
オルトスプライム地下は、もともとは放棄された基地を拡張していったものらしい。
二千年くらい前にあったアンドロイド反乱戦争の時、この星の地下に建設された巨大な基地を少しずつ拡張し、暗黙の了解の「地下」が出来た。
そして、「地下」の利権は拡大した。
「地上」が栄えるにつれて、「地下」は単なる無法者の棲み処という役割ではいられなくなったのだ。
国が表立って放置する地下。
そこには、大きな価値があった。
「ここか.....」
私は、地上の中央都市部分から外れ、地上と同じように広がる裏マーケットに足を踏み入れた。
地上と同じように区画分けされているようで、私が今いるのは「奴隷市場」だ。
といっても、ゴミ溜めのような場所で奴隷が売買されているという訳ではない。
地上と同じようにモールが立ち並び、そこに入れば無数の「ペットショップ」が並んでいるだけだ。
人間も取り扱うというだけで、そこはその視界に映る全てから目を逸らせば、ペットショップなんだ。
『お探しの奴隷はいらっしゃいますか? 条件などから絞り込み・付近の店舗での在庫を表示いたしますが』
「悪いが、冷やかしだ」
『申し訳ございません』
アンドロイドが、私に案内をしてくれるけれど。
私はそれをやんわりと断った。
「ペットショップ」の中では、分厚いガラスの部屋に面した廊下があり、私はそこを歩く。
ガラスの向こうには、大部屋か個室のどちらかがあり、その向こうでは自由を奪われるか、インプラント手術を受けた後なのだろう、命令があるまでじっと動かない奴隷が居た。
これは私の考察だけど、インプラント手術を受けた奴隷が大部屋に入れられている。
『あ、あの!』
話しかけられ、私は横を見る。
そこでは、猫耳の獣人? らしき人間が、ガラスにへばりついてこちらを見ていた。
『旦那様、私を買ってください! なんでもします! 夜の訓練だって受けてます!』
「.....」
私はその場を後にする。
悲惨で見ていられなかった...って訳ではない。
ただ――――反吐が出る、そんな思いになっただけだ。
ソフと同じ気配がする。
人を無理やり従えて、そんな風に教育して何が楽しいんだろう?
とはいえ、お兄ちゃんは常に言っている。
『人には様々な側面がある。善悪の基準は常に一つではない、お前にとっての悪は、誰かにとっての善なんだ。その眼で見た主観だけで全てを判断するのは早計だ、もしそういう事があったなら、流歌。――――悪人にだって、その側面はあると思え』
だから私は。
この光景を見ても、怒りはしない。
呆れもしない。
苦しみも、葛藤もしない。
常にこの世界が間違ってるなんて、口が裂けても言えないんだから。
『お帰りですか?』
「他店舗を見てくる、品揃えがいい場所はあるか?」
『でしたら―――東館4Fの『ミライサ』へどうぞ』
「分かった」
私はその後、「奴隷」区域を回った。
そして、いろんな種族を見た。
ノルスのようなクローリア星人や、ラビのような人とケモノが混ざったような種族ではない、もっと人間に近い兎人等も。
アンドロイドに尋ねれば、貞操関連や身体の傷の有無に始まり、果ては精神的傷害の有無や従順さなども絞り込めた。
絞り込んで尚、三桁以上の数がそこにはあった。
『気を付けな、その武装があっても、この星の闇は深いぜ。決して自分だけで解決しようとすんなよ』
あのガムドとかいうお爺さんの言葉が脳裏に浮かんだ。
確かに、これは私一人でどうにかできる問題じゃないな.....
とりあえず、見るべきものは見た。
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