241-都市の闇へ
翌日。
私は全身フル装備で出掛ける支度をしていた。
「本当に行くのー?」
「ああ」
全身をすっぽり覆う、ラビが買ってきた新しい装備一式。
頭にフィットするフードと、踝まである丈のコート
中には二枚目の丈が短いローブ、更に裏に前に買ったオーダーメイドのパワードスーツ、ロングブーツで機動性も確保する。
バックパックに予備のエネルギーパックとバーニア燃料を積載。
左腕にシールド発生盾。
ニケとカルセール、新たに作った、高所への移動用のワイヤーフック。
「それ、本当に意味あるの?」
「私三人分を持ち上げる力はあるはずだけど...ワイヤーの強度がちょっと分からないかな」
最悪バーニアで浮上できるから問題ない。
「だけど、みんなを連れていく事はできないからね」
「私だけでも...」
「捕まったら何されるか分からないから」
何故私がフル武装で出かけようとしているのか。
それは、この惑星の秘密を暴くためだ。
記事の奥の奥、一般人が到底辿り着けないネットワークの奥底に、それについて書かれた記事が存在した。
『オストプライムには地下都市がある』
という記事が。
思うに、グーンズフリートの調査対象はここなのではないかと、私は踏んでいる。
同時に、恐らくは...ファイス達を奴隷として運用するための技術を抱えている闇が、この惑星の地下にある。
と言っても、そんなブラックマーケットに簡単に立ち入れるわけが無い。
まずは調査段階を踏む必要がある。
「じゃ、行ってくる。共有ウォレットにお金入れておいたから、一週間は滞在できるはず」
「うん、みんなのことは任せて」
ラビ、本当に保護者としては優秀なんだけどなぁ。
私はマスクを装着して、流歌からカルにモードチェンジする。
そして、ホテルを出た。
情報自体は、すぐに掴むことができた。
何故それが可能になったかというと、この間ステーションにいた万引き犯が万引きする現場を目撃したので、捕まえたところ、何でもするから許してくれと言ったので...
「おい。裏マーケットについて何か知らないか?」
「お、俺は知らねぇ! 聞きたいなら、バライアっていう酒場にいるガムド爺ちゃんに聞くんだな!」
と全部喋ってくれたので、酒場バライア...一つしかない中央都市の酒場を訪れた。
アンティーク風情のある酒場の中で、私はガムドという老人を探した。
すぐに見つかったガムドという男は、ジョッキ三本分の酒代で口を割った。
「地下への入り口はなァ、あちこちにあるけどよ...興味があんなら、ここの隣の酒場に行きな。俺の紹介だって言えば、マスターが通してくれる」
「...助かる」
「気を付けな、その武装があっても、この星の闇は深いぜ。決して自分だけで解決しようとすんなよ」
ガムドというお爺さんは、そう私に忠告した。
こういうときに飛び出る台詞は、単に心配や不安だけで出るものではないことを、私は知っている。
お兄ちゃんがよく口にする言葉の数々は、お兄ちゃんの経験以外から出た言葉ではない。
「ああ、感謝する」
もう、奴隷なんてモノは作らせない。
これは正義でも何でもなく、仲間達を見て無意識のうちに誓っていたことだ。
私は颯爽と酒場を後にした。
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