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異世界の宇宙に船ごと転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜  作者: 黴男
シーズン9-オストプライム編(前編)

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239-ノルスと図書館

全員がショッピングを満喫する中。

中央都市の図書館を訪れていたノルス。


「(....図書館とは、こういう場所なのですね)」


エントランスから中へ入ったノルスは、静謐な空間だとその場で認識した。

入ってすぐの空間は、ツートンカラーの木材が組み合わさった網目状のトンネルになっており、網目の奥には格子状の棚があった。

棚には本がそのまま置かれており、どれもノルスの興味を惹くものだ。

彼が奥に進めば、彼の空間認識能力が、広大な空間を指し示した。


「…これは」


そこはまさに、幻想のような世界だった。

まず目に入るは、壁面にずらりと整理された本棚。

流麗なカーブを描いた本棚は、自分のいた通路へと収束していると、ノルスは気付く。

アーチ状の通路は、円筒状の部屋へと接続されていたのだ。


「(塔のようですね…いや、これは!?)」


まるで、塔の壁面をそのまま本棚にしたようだと思っていたノルスは、中央に空いた吹き抜けに気付く。

その仮説が正しいということが証明され。

見上げれば無限に続くような階層が。

下を見れば、遥か遠くに地面が。

本棚のある階層が、無数に連なっているのだ。


「これは…!」


主人を連れてくるべきだったと、ノルスは後悔する。

今まで見たこともないその絶景に、主人であれば感涙するかもしれないと愚考したためだ。


『何かお探しですか?』


その時。

流線型のデザインを持ったドローンが、ノルスの前に降り立った。


「経済関連の書籍を少し――――オルトス中央部における株式変動について知りたい」

『検索完了です、こちらへどうぞ』


ドローンの後ろを、ノルスはついて歩く。

入って左右にはエレベーターがあり、ノルスはそれに乗って階下に降りる。

途中数人の人間が乗り降りする。

ドローンを連れていない者もおり、慣れているのだと思わせる。


「こんにちは」

「....こんにちは」


時折、挨拶してくる者もいた。

ここは、静謐な空間であると同時に、電子化の完成された世界において、物質的な知識を求める者の学び舎であるのだ。

学友に挨拶するように話しかけてくる人間たちは、ノルスが特異種族であるからと目線を向けてくるわけではない。

遠い星から学びに来たノルスという「人」を見ているのだ。


「(きっと、私などより主人がこの場に似合うだろう)」


完璧にほど近いというのに、更なる完璧を追い求める自らの主人。

それを脳裏に浮かべつつ、ノルスは目的の階で降りた。


『この階層は統計記録書架-67階層にあたります。こちらに、10年前からの上場株式の変動記録を記録した書類が存在しています』

「助かる」


この図書館は、地下1250階層・地上212階層の超巨大な建造物であり、その特質は「王国中の惑星の書籍」が集う事。

それは、翻訳や種族に合わせたマイナーチェンジ等も含むという事だ。


「ありがとうございます」

『御用があればお呼びください』


それだけ言うと、ドローンはその場で静止する。

ノルスは数時間ほど、その場で記録書類に目を通す。

座りたいと思う暇もなかったが、座ろうと思えばドローンが椅子を出してくれる。


「(主人ならば、ここに住むと――――いや、主人であれば、時間を必要としないだろう)」


カルが、星系図を完全に把握していることをノルスは知っている。

彼女の会話に出てくる星系の名前は、「記憶しているが詳細は知らない」という程度であり、数千数万と存在する星系の名前をすべて覚える事が出来るカルに、この図書館の網羅など当然できるものだとノルスは考えていた。


「――――今、何時ですか?」

『17:22です』


時間を聞いたノルスは、ドローンが時間を表示したのを見て本を閉じた。

一日が終わる時刻であり、ホテルに帰るべき時間帯である。


「帰ります、退館時のルールはありますか?」

『ございません、ご利用いただきありがとうございます』


ノルスはエレベーターに乗り、再び地上へと戻るのだった。

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