231-討伐戦
『敵巡洋艦2隻、左に展開したよ』
「了解、側面にシャトルがいる筈だから、それを撃墜しろ」
『了解っ!』
砲撃が、巡洋艦を一撃で粉々に吹き飛ばす。
もう一隻も同様に。
こちらから範囲ワープ妨害をかけているので、彼らは逃げる事が出来ないはずだ。
小型艦にはこの距離ではまず当たらないので、ラビがそれを迎撃する。
幸いにも、速くて当たらない艦載機より、海賊たちはこちらを狙ってくる。
『敵ミサイル接近』
「左側面パルスレーザーで迎撃」
『了解』
「ごしゅじんさま! 基地からドローンが撃たれてます!」
「射線を切れ! 一度帰投させるんだ」
「りょうかい!」
そして、基地を守る艦隊を壊滅させた私たちは、海賊の棲み処である基地を艦砲で吹っ飛ばした。
いつもならこのまま帰るけど、今回はそうじゃない。
プローブで特定された次の海賊の拠点に向かうため、ドローンとラビを収容、サルベージドローンを使って基地や船の残骸からデータを回収する。
「次は結構大きいぞ、ラビは一回休み」
『分かったよ、無理しないでね』
アドアステラは再びワープに突入し、すぐにワープアウトする。
「敵セントリーガンが大型だな、優先して破壊する」
『了解、許可を』
「撃て!」
強化された主砲によって、大型のセントリーガンは一撃で吹っ飛ぶ。
更に、その隣のものも破壊する。
どうせ敵にとっては奇襲だから、ちゃんとした戦力を展開するには時間がかかるはず――――
『敵影発見、コルベット艦2隻、フリゲート艦1隻』
「早いな....ケイン! ロガーヘッド全機発進!」
「りょうかい!」
四門のパルスレーザーを装備した高機動ドローンが10機射出され、急いで発進してきたコルベット艦を撃ち落とす。
『敵基地より大型艦発進、恐らく戦艦級です』
「戦艦まであるのか....金持ちだな、”当たり”だ」
『敵艦の発砲を確認、シールド150000/146421、損傷軽微です』
戦艦を持っているというのは、流石にオスト星系だ。
今までも戦艦持ちの海賊はいたけど、継ぎはぎじゃなく王国艦の横流し品の改造艦に見える。
「ロガーヘッドを下がらせる、ヒュペリオン発艦!」
ロガーヘッドでは火力が足りない。
そう判断した私は、代わりに重爆撃ドローンヒュペリオンを出す。
周囲に展開させたまま、砲撃を差し込む。
戦艦はシールドで砲撃を半減させ、装甲がチーズの様に融けただけで済んだ。
そこにヒュペリオンが重レーザー砲の砲撃を放ち、戦艦にダメージを与えていく。
『基地から艦が発進しました、フリゲート艦6、巡洋艦5、戦艦1』
「キャッスルモジュール起動」
「キャッスルモジュール起動します。代替固形水素燃料投下。変換率80%」
キャッスルモジュールさえ起動すれば、アドアステラの砲撃はその辺の主力艦ですらひとたまりのない一撃へと変わる。
あまりの熱量を伴った一撃に、耐えていた戦艦は、まるで暖簾に腕を押したようにぬるりとその船体に穴を開け、直後に爆散する。
あとは他も同様だ。
フリゲート艦は、ヒュペリオンの接射で撃破する。
守る者がいなくなった基地を艦砲射撃で破壊し、生体スキャンで中の人員が全員死ぬのを待ってから、再びサルベージドローンでデータを回収する。
「ほんとは船とかを回収できればいいんだがな」
「自分は技術者ですから」
「うん、分かってる。ファイスはそのままでいいよ、下手に手を増やすと、元からある手の方が疎かになる」
どこかでエンジニアを雇いたいなぁ.....
そう思いつつ、私は次の基地に向けてアドアステラを回頭させる。
「ドローンを収容しろ、次は中型。休暇は終わりだ、ラビ」
『もう? 速戦即決が君のいい所だね』
「ワープしろ」
ラビの軽口を聞き流しながら、私はアドアステラをワープさせた。
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