228-主計係・ソフ誕生
こうして、アドアステラのブリッジに一人の新メンバーが加わった。
主計担当・ソフである。
経理・雑用・食事を担当し、ブリッジにおいては座っているだけの役割でもある。
でも私は、それも悪くないと思った。
ソフには戦いなんて無理だろうし、目まぐるしく動く状況に対応出来るかはまだ分からない。
それなら経理とか得意なことを任せた方がいいだろう。
「パーラを抜けるまでに残り三回のワープを行う」
私は皆に説明する。
アドアステラのワープドライブなら、一気に抜けられるんだけれど....
グーンズフリートのワープドライブに合わせなければいけない。
こちらのワープドライブと同調させると、相手側のワープドライブが破損する。
「ソフ、まずはワープ三回分の五日分の食糧と燃料費の管理を頼む」
「はい、旦那様」
「マニュアルはそこから見れる、計算機の使い方は覚えたか?」
「まだ少し....ですが、覚えました」
「燃料費はサブワープドライブ用のものだから、基本的には変動しない。ノルスからドライブの稼働時間ログを貰って計算しろ」
「はい」
食糧については、主計班がソフしかいないので管理は容易だ。
元々、ソフは一人で奴隷をやっていた身だ。
食糧の管理くらいはお手の物。
三桁以上の数字に弱いだけだ。
「シトリン、清掃エリアのデータをソフに共有するのを忘れるな。ソフ、掃除は手ではなく機械を使ってやるんだ」
「はい」
汚染分解スプレーを買ってある。
汚れを引っ剥がして分解する代物で、もう拭く必要はない。
「二回目のワープでパーラⅠのステーションに入港する。その際に物資を購入するが、不足している、もしくは不足する可能性がある物資はあるか?」
「少々お待ちください.......ええと、数度戦闘を行うと、スマートミサイルの弾頭が足りなくなります。それから、お塩もちょっと量が不安です」
「分かった」
こうやって維持管理の話を聞くと、メカニックが欲しくなってくるなぁ。
ファイスはメカニックではなく、エンジニアだから....
「ソフ、後は待機してていいぞ」
「はい!」
ソフの仕事は他の皆に比べて少ない。
それだけに、ソフはそれだけ職務に集中できるはずだ。
『こちらグーンズフリート旗艦、ワープドライブの状態が安定した』
「よし」
入った通信を聞き、私は頷く。
そして、ノルスに伝える。
「ワープドライブ起動、シトリン、ワープ座標計算開始。ファイス、ワープ同期開始」
アドアステラのワープドライブと、グーンズフリートのワープドライブがリンクする。
ワープドライブが、超光速にまで艦隊を加速させるワープトンネルを形成し、ワープの準備を完了させる。
「アドアステラ、ワープ!」
『ワープします、ワープドライブ活性化』
アドアステラはワープに入る。
横を見ると、ソフは目を瞑っていた。
ワープ突入時の、星々が一瞬光を放つ現象が怖いのだろう。
「ソフ」
「は、はい」
「毎日見る事になるから、慣れておけ」
「はい!」
私の言葉に、ソフは強く頷いた。
....眼を閉じたまま。
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