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異世界の宇宙に船ごと転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜  作者: 黴男
シーズン8.5-エミドの少女と旅のアレコレ

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226-ソフの一日

ソフの朝は早い。

習慣で、眠ってから六時間以内に起きれるのだ。

彼女は自室に何も置かないため、寝室は非常に殺風景である。


「っ!」


ソフは小さく飛び跳ねて、高い位置にあるパネルにタッチする。

扉が開き、ソフは廊下へと出た。

彼女が向かう先は、厨房である。

エレベーターを不慣れな様子で操作し、食堂へ向かう。


「.....」


昨日の晩御飯の後、ソフが片付けたため厨房は綺麗なものだ。

自動調理器を使い、ソフは全員分の食事を用意する。

最初は一応存在する熱的調理器で作っていたものの、カルが禁止したため、申し訳なく思いつつもソフは自動調理器を使っていた。


「(.....私よりも優秀な料理人がこの中に...)」


ソフは自動調理器を眺める。

捨てられる事を恐れるソフは、「優秀である」という事に執着していた。

勿論カル含め仲間たちは、ソフの事を仲間と認識し、捨てるどころか別れる気すらないのだが....しかし、ソフは元・下級の奴隷である。

力仕事しかできない最下級に比べればましだったが、それでも徹底的に尊厳を破壊された後なのである。

故郷から離れ、優しい主のもとに来たとはいえ、トラウマは消えない。


「おはようございます、ソフ様」

「お...おはようございますっ、ファイス様!」


今日の一番乗りはファイスであった。

カルと起きる時間がほぼ変わらない彼は、カルと同じく決まった時間に正しく起きる事が出来るのだ。


「おはよう.....ソフ」


その時、ファイスの後ろからカルが現れた。

ソフの主であるカルは、仮面をつけていない時は「奥様」であり、つけているときは「旦那様」である。

しかし、ソフは常に旦那様と呼ぶように言われているため、


「おはようございます、旦那様っ!」


と深く頭を下げた。

カルは数歩で距離を詰め、ソフの頭をゆっくりと上げた。


「畏まらなくていいよ、朝ごはん作ってくれてありがとう」

「はい!」


毎朝の光景だったが、カルは何度も、何度でもソフを慰めた。

そして、それに続くようにラビが入ってきた。


「おはよう!」

「おはよう、ございます...」


ソフはラビが苦手であった。

畏まらなければいけないのに、ラビは距離が近いからだ。


「カル~、何だか眠そうだね!」

「ちょっと、寝付けなくて....」

「一緒に寝てあげようか!?」

「後が怖いからやめておくよ」

「そんなぁ~」


ラビはカルと恒例のやり取りをする。

ソフにとって苦手なラビを軽くあしらえるカルは、とても格好よく映った。


「ラビ様、お食事です」

「ありがとう!」


こう見えて、ラビは料理が出来ない。

そのため、ソフの食事を口にして初めての感想は、「久しぶりに食べた家庭の味」だった。

今日のラビの朝食は、ホットサンドにココアである。


「あれ? ノルスはまだいないんだ」

「最近ノルスはオクティアンの開発に忙しいからね...」


カルは、フィムハル....トマト風の何かを使ったスープを飲みつつ呟く。

開発中の調査用機体・オクティアンは既に腕と脚、武装のみが完成しているものの、コックピットブロックのカスタム性にノルスは常に悩んでいるのだ。


「じゃ、じゃあ....朝食はお包みして、後で持って行った方がいいでしょうか?」

「あー......ソフは休んでていいよ。私があとで持っていくから、その辺に置いておいて」

「は...はい」


ソフにはよく分からなかったものの、その場はケインとアリアが入って来た事で一気ににぎやかになる。


「ソフさん、今日の朝ごはんは何?」

「こちらです」

「ありがとう」


アリアは菜食主義寄りであり、サラダを好んで食べる事をソフは知っている。

オレンジジュースとサラダを受け取ったアリアは、テーブルの端に座る。

彼女としては、面々と一緒に食事をするには大人しすぎるという気持ちの表れなのだろうが....


「アリアちゃーん、もっと寄って食べようよ!」

「あ、あの、私.....」


対するケインは、カルの真横.....は既にファイスに占拠されているため、ファイスの横に座ってスコッチエッグとパン、コーンポタージュを食べていた。

食事時のファイスは殺気立っていて、その横で食事のできるケインを、ソフは羨んでいたのであった。


「手伝うよ」


食事が終わり、皆が戻った後。

残っていたカルは、ソフの片づけを手伝う。

原材料のパックを潰して、皿を軽く水洗いして自動洗浄機に入れる。


「宇宙じゃ水は貴重だからね」

「はい....」

「だからといって節約は心掛けなくてもいいよ。使いすぎなければね」

「はい!」


用事を済ませたカルは、食堂を去っていった。

ソフは不思議な感覚を覚えつつ、ブリッジに向かうためカルの後を追った。


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