225-モブに厳しい世界
パーラ・ゲート前。
そこでは、海賊の大艦隊が配備されていた。
海賊たちの士気は高く、戦闘を楽しみにしていた。
それは、何故か。
『楽な仕事っすね、傭兵二人殺るだけで派手に稼げるなんて』
『油断するな、一人はアプレンティス傭兵だぞ。最悪奴らの仲間だけでもやって逃げんだよ』
グーンズフリートとアドアステラの乗員全員に、賞金が掛けられているのだ。
つまり、グーンズフリートの一隻でも、アドアステラの乗員一人でも手に掛ければ、逃げ遂せた後に金が入る。
全滅させる必要はないという楽な任務である。
――――しかも、何故か上位の”馬鹿ども”はこの仕事を受けなかったので、彼等のような中堅がやって来たのだ。
『もうすぐ奴らが来るぞ!』
『了解!』
情報役からの連絡が入り、艦隊は一斉に活性化する。
ゲートに接近する艦隊に対処するのが、ゲートキャンプを行う艦隊に付随する情報役であり、巡洋艦を中心として構成された大艦隊に対して、排除しようと接近してくる星系軍を事前に察知する役割も持っていた。
『ワープ終了まで一分!』
艦隊は今か今かと、獲物の到着を待ち侘びる。
だが彼らは、完全に失念していた。
グーンズフリートがメインであり、アドアステラはおまけに過ぎないと思い込んでいたがゆえに、おまけに過ぎないアドアステラの乗員にまで懸賞金が定められていることに.....
『よっしゃあ、行くぜ――――』
ゲート付近に艦隊がワープアウトし、海賊艦隊が動き始めた直後。
アドアステラが放った閃光が、巡洋艦隊を一斉に薙ぎ払った。
『な、何が――――』
それから始まったのは、恐るべき連射速度による蹂躙。
巡洋艦隊はまるで息を吹きかけられた蝋燭のように消し飛び、駆逐艦・フリゲート艦艦隊が孤立した。
『お、親分....くそっ、許さない!!』
どう許さないというのか?
そう問うように、アドアステラが動き出す。
アドアステラから発進したドローンと、両舷のミサイルポッドから放たれる対小型スマートミサイルが、駆逐艦隊を襲い、その数を減らしていく。
頼みの綱のフリゲート艦隊は、回避機動を取りながらも統率されて動くグーンズフリートの艦船に墜とされていく。
そして、
『つ、強すぎる!』
『俺は降りる! じゃあな!』
艦隊が崩壊し始めた。
元より懸賞金目当てのチンピラの集団であり、数の有利が突き崩されたその瞬間から士気を失い、逆転不可能な状態に陥ってから逃げる判断へと移ったのだ。
『誰か、あの化け物を止めろ!!』
そう通信で叫んだ乗員ごと駆逐艦は、パルスレーザーによって船体の六割を削り取られ、冷えた宇宙の藻屑と化した。
『クソッ! クソクソクソ!! 聞いてない、聞いてないぞ!!』
命と依頼を天秤にかけ、それでも残った者たちに、神は慈悲を与えはしなかった。
通信で喚きながら、最後の一隻が爆散し――――
かくして戦いは終わり、ゲートの周囲に冷え切ったデブリが散乱するのみであった。
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