215-基地殲滅(後編)
こうして、私たちは海賊の基地の防衛戦力を殲滅した。
基地のフォースフィールドを破壊し、砲撃で基地をバラバラに引き裂いていく。
「しかし、呆気なかったな」
『ああ、予想していた戦力よりはるかに少ない』
基地の内部にはまだ人間がいるけれど、今回に限っては突入する理由がない。
海賊行為をまだ働いて無いので奴隷はいないし、内部は薬物やら違法物品だらけ。
下手に踏み込んで中毒にでもなったら大変だ。
「揮発性金属で内部を組んでるのは何でだ?」
『素材がなかったか、それとも無知か....それはよくわからんな』
砲撃がよく通る。
揮発性素材とは、エネルギーとの親和性が高く、よく燃えよく爆発する素材だ。
こういった基地には向かないような気もするけれど.....
「あ、あの.....あの中には、人がいるのではないのですか?」
「だから?」
「撃ってもいいのでしょうか...?」
「あいつらは悪だからな、ソフの前の主人と同じだ」
「...そう、なのでしょうか...?」
海賊に情けをかける理由はない。
どんなに悲しい過去があっても、お兄ちゃんならこう言う。
「...人からものを奪ったら、奪われる覚悟も同時に持たなければいけない。それが命であるなら、それを奪われるような状況になったら奪われないように乞いてはいけない」
「...私には烏滸がましい事だったでしょうか?」
「気にするな、その優しさは何にも代え難い」
私だって、前の世界では普通の女子学生だった。
お兄ちゃんのためなら誰でも殺せるだけで、私自身には何の決意もない。
だから、ソフが言う“普通”はこの船では貴重なものだ。
皆イエスマンではないけれど、悪なら殺してもいいという意識は深く根付いている。
「...ところで、もう平気なのか?」
「はい、慣れました。少年兵として前の前の前の主人様に仕えた時程ではなかったです」
ちょっと待って。
ソフってもしかして、私より人生経験豊富なんじゃ...
実年齢十代だよね?
「そうか...戦闘経験があったんだな」
「はい、その主人が戦死されたあと、戦場より辛い主人のもとに仕えました。私にとっては、飛んでくる砲弾より、吐くまで殴られる事の方が怖いです...」
「吐くまで殴る...?」
「その後、掃除をしろと言いつけ、出来なければまた殴られるだけです」
うーむ。
未開の惑星出身だからか、野蛮さのレベルが十段階くらい違う。
まあ、
「俺の下に居るうちはそんな事はさせない、安心しろ」
「はい...!」
私達がイチャイチャしている間に、基地はほぼ全壊していた。
これで任務は終わりかな?
『...カル、少しまずいことになったぞ』
「どうした?」
『この基地は陽動だったようだ』
「じゃあ、本隊はどこへ?」
『...今、コロニー付近で戦闘が起きている。...主力艦らしき影も見えるらしい』
「そうか、では行くぞ」
『...行くのか?』
困惑したような声。
何を躊躇うことがあるんだろうか?
「主力艦程度、恐るべき相手じゃない」
これは慢心だろうか?
否、違う。
主力艦のシールドに穴を開け、ロードメイカーでエミド主力艦にも一太刀入れることができた。
正式運用されていない鹵獲主力艦に、何を恐れる必要がある。
「臆したか?」
『...いいや、大した勇気だと惚れ直したところだ!』
「では、今度こそ行くぞ」
アドアステラとグーンズフリートは連動ワープを開始して、ケラクライムへとワープするのであった。
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