214-基地殲滅(中編)
出撃したラビは、海賊の基地上部を飛んでいた。
高機動戦は、ラビが元々乗っていた愛機の得意とするところであり、ラビの乗るホワイトレイヴンは嘗て乗っていた機体より遥かに小さい。
敵の戦闘機隊の注意を引きつけつつ、ラビは趣味のローカル通信監視に興じる。
『クソッ、なんだあの艦は!』
『アプレンティス傭兵の殺害に集中しろ!』
『冗談じゃねえ、あの船を先に始末しちまえば!』
『どうやって近づくんだよ!』
ローカル通信に響き渡る悲鳴のような声をBGMに、ラビは戦闘機隊を相手取る。
全部で七機、ぴったりとホワイトレイヴンを追い、機銃で撃ってくる。
「へ・た・く・そ♡」
ラビは機体を急上昇させ、即座に反転。
重力下ならそのまま下に落ちるような機動を取り、敵戦闘機隊を攪乱。
今度は逆に戦闘機隊の尻を追っかける形になり、本来であれば隙の大きい急上昇状態の戦闘機隊に機銃を発射。
瞬く間に一機を撃ち落としたホワイトレイヴンは、墜ちていく機体を横目に転進。
基地を横切る形で水平飛行し、バレルロールを行いながら再び上へ向かい、追ってくる二機の前で機体を横滑りさせ、その機首を二機に向ける。
「甘いね」
意表を突かれた一機はそのまま爆散、もう一機は反撃することなく離脱軌道に入る。
それを、ホワイトレイヴンは冷徹に追い詰める。
『たっ、頼む! 俺の全財産をやるから、助けてくれ! な?』
「う~ん....まあ、許してあげない事もないかな」
相手の機体が一瞬減速したその隙に、ラビは機銃の連射を叩き込み、推進器を直接狙って墜とす。
『や、約束と違......』
「私は殺してないからね、君が死ぬのは窒息のせいだから、ね?」
『クソがっ!』
戦闘機は宇宙船とは違い、動力を失った時点でパイロットの生涯は終わる。
それを見越した上での所業であった。
ホワイトレイヴンは、基地を一周する形で下部へと回り込み、三機で彼女を追っていた戦闘機隊を奇襲する。
『やられた! 散れ!』
一機を失った戦闘機隊は、そのまま二手に分かれる。
ラビはそのうちの、左に行った方を狙う。
機銃で回避を「誘い」、その先にスマートミサイルを撃ち込んで攪乱する。
「やっぱり海賊レベルじゃこの程度か....」
ミサイルを回避した事で制動性を失っていた敵機体は、ホワイトレイヴンの機銃掃射を回避できずに撃墜される。
それを見ていたのか、残った一機がホワイトレイヴンに真横から襲い掛かる。
「いい根性してるね.....」
だが、ホワイトレイヴンは厳密には戦闘機ではない。
シールドを持つ、超小型コルベットである。
機銃に耐え、撃ってきた一機にスマートミサイルを撃ち込んで吹き飛ばした。
「さーて、カルはっと.......援護は要らないか」
ラビはアドアステラを見るが、何の損傷もない。
逆に、基地から飛び出した艦隊はほぼ壊滅状態にあった。
『指揮官がやられた! 離脱する!』
『離脱できねぇ! なんでだ!』
アドアステラによる、球状のワープ妨害フィールドにより、海賊艦隊はワープを封じられていた。
そこに、グーンズフリートとアドアステラからの集中砲火が襲い掛かる。
『クソッ、クソ――――』
「そろそろ終わりそうかな?」
ラビはそう呟きつつ、基地の周囲を旋回するのであった。
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