213-基地殲滅(前編)
数日後。
アドアステラとグーンズフリートは、共同作戦へと身を投じることになった。
『敵の基地は既に建設を殆ど終えている、当然ながら戦力も戦艦から小型艦まで勢揃いだ! だが、我々の敵ではない!』
「戦艦は任せろ」
『露払いは任せよ!』
ワープ中の艦隊の中で、私達は作戦を話し合う。
ワープアウト後、即座に散開し被弾面積を減らしつつ、一番槍をアドアステラが務めてヘイトを集中させ、そのまま要塞に肉薄、シールドを削りつつ、迎撃の薄い側面に回り込む。
アドアステラを追って旋回中の艦隊に、グーンズフリートが一斉射撃を喰らわせる。
そういう作戦だ。
『ワープアウトまで残り30秒』
シトリンが伝えてくれる。
今回、砲撃は完全にシトリンとアリアにお任せで、折角なのでブリッジの航海長席にソフを座らせている。
「いいか、ソフ。目を背けたくなった時はそれで目を覆うんだぞ」
「は、はい...!」
アドアステラの機動によるGは発生しないので、戦闘における衝撃はともかく、恐ろしい視覚的な光景は目隠しで遮断できるはずだ。
『ワープアウトします』
「行くぞ!」
アドアステラとグーンズフリート五隻は、海賊の基地の少し離れた場所へとワープアウトする。
これは...多分、意図的にワープアウト位置を逸らされた。
帝国軍が使っていたインターディクション装置のようなものを、海賊も使っているらしい。
『散開せよ!』
「シトリン、オールウェポンフリー!」
『火器管制システム、オンライン』
「サブシステム、全カーネル起動します、アドアステラ、砲撃モードに変形開始」
「フォートモジュール、起動受け取りました、サブワープドライブ、アクティベート、推進力の入力元を変更」
アドアステラは変形しながら加速し、基地のルックアウト...つまり、櫓のようなタワーを砲撃する。
シールドを貫いた砲撃は、櫓を貫通して破壊する。
その途端、基地全体からスキャン波が一斉に投射されてきた。
「あわわ...」
「ファイス!」
「対電子戦・スキャンウェーブ・コラプサー起動します!」
基本的に、スキャン並というものは距離が離れれば離れるほど減衰する。
減衰した状態であれば、反対にこちらが同波長のスキャン波を打ち出せば打ち消せる。
そうやって、ターゲットを妨害することができるのだ。
「シトリン、要塞のセントリーガンを狙え、砲撃開始!」
『了解』
アドアステラは砲撃を開始する。
大幅に強化された重レーザー砲が、基地のシールドを貫通し、セントリーガンを破壊し、その奥にまで突き刺さる。
「ケイン、ドローン射出! オネイロスⅡを15機!」
「りょうかい!」
「ラビ、出撃! 二人とも、要塞から出てくる戦闘機を重点的に狙え!」
「『了解!』」
要塞から、戦闘艦よりも出撃の速い戦闘機が無数に出撃してくる。
こちらもパルスレーザーで撃墜するが、全てをカバーできるわけではない。
だからこそ、ドローンたちとラビが輝く。
「この船...強いんです、ね...」
「ああ、強い」
激ヤバな改造を受けまくってるからね。
ただ、愚策なのは間違いがないけどね、こんな風に突っ込むのは...
「艦隊を引き剥がす、CJD起動!」
「了解!」
アドアステラは加速状態から転進し、そのまま基地の側面部に一瞬で遷移する。
立ちくらみのような感覚が襲いかかってくるものの、致命的ではない。
『敵艦隊、こちらへ向けて移動中』
「キャッスルモジュール起動! 長距離クリスタルに換装、アリア! 砲雷撃戦用意!」
「はい!」
アドアステラのレーザー連射力は凄まじい。
それは、キャッスルモジュールを使うことでより高まる。
燃料事情と電力事情はより厳しくなるけどね。
『今だ、援護射撃っ、開始ィ!』
『オラァアアアアアアアア! くたばりやがれ、海賊野郎!』
『死ねクソどもが!』
グーンズフリートからの援護射撃が飛んでくる。
それらは、アドアステラを追うために長く広がっていた艦隊に直撃、大混乱を齎す。
そこにアドアステラの砲撃が到達、大きな損害を相手に与えたのであった。
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