203-ケラカプライム
『ワープトンネルより離脱しました』
ゲートからそこまで離れていない場所に、今回の目的地...ケラカプライムの軌道上に設置された大型ステーションがある。
大量のサイロが、ここの目的を物語っている。
「えーっと、それで...」
中型艦用のドックが無いような...
そう思っていると、通信が入った。
『こちらケラカプライム税関ステーション管制室、貴艦の所属と目的を述べよ』
「こちらアドアステラ、エンフォース所属だ。惑星への降下の為、税関を通りたい」
『少し待て、中型艦用のドックを準備する』
見れば、小型艦、大型艦用のドックの間にあった暗い部分の灯りが点灯する。
「ああ、成程」
「何か知ってるの?」
「多くの傭兵はコルベットかフリゲートだから、それ用の小型艦ドックと、輸送艦用の大型ドックは普段から使ってるけど、中型艦なんて滅多に来ないから...」
ラビはそう語る。
成程、コスト削減のためか。
『こちらケラカプライム税関ステーション管制室、ドックの準備が完了した。すぐに入港してくれ』
「分かった、準備に感謝する」
アドアステラを操艦して、船を中型艦用ドックに入れる。
慌てて片付けたらしく、船のパーツとかがハンガーベイに散乱している。
「ガントリーロック」
『ガントリーロック確認』
「機関停止」
「機関停止、確認しました」
「火器管制システム、ロック」
「火器管制システム、ロック確認」
アドアステラを停船させ、私たちはステーションの内部へと進む。
ここは食料品などが行き交うステーションのため、税関を通らなければならない。
「ようこそ、ケラカプライムへ」
応対してくれたのは若い男性職員だった。
私たちは全員荷物検査と身体検査を受け、カルセールが引っかかった以外は問題なく通過することが出来た。
カルセールは傭兵の武器なので見逃してもらえたが。
「お帰りの際もお願いしますね」
「わかりました」
ステーションに隣接する軌道エレベーターに私たちは案内される。
デザインより実用性重視、といった様子で、重々しく扉が開いていく。
「こちら空荷ですが、帰りは農産物を積載するので到着時は素早く降りてくださいね」
「分かった」
積載量もかなりのものらしくて、中はとても広い。
円筒形の内部に乗り込んで数秒経つとブザーが鳴り、それが成り終わると同時に軌道エレベーターが動き出す。
『本来は輸送用のものですが、内部で人間が生存できるように設計されていますのでご安心ください』
「ああ」
まったく安心できない一言と共に、エレベーターが下降を開始する。
まあ、下降と言っても落下だけど。
固定されているとはいえ、最初は速度が必要だからだろう。
「ひっ.....」
「大丈夫、大丈夫ですから....」
震えて蹲るソフを、アリアが優しく抱きしめている。
反対に、男組は静かなものだ。
こちらばかり見ているノルスと、目を閉じて壁に寄りかかるファイス、窓がないので退屈そうにするケイン。
両性のラビは私にぴったりくっ付いてるし、シトリンは必要がないので同行していない。
成層圏を抜けたエレベーターは徐々に減速し、やがて静止した。
「よし、急いで抜けるぞ」
「「「「「はい!」」」」」
「...はい!」
私たちは、エレベーターの外に急いで出る。
そこは、大きなレーンがある通路で、端っこに通路がある。
急いでそちらに乗ると、フェンスが通路の端から突き出る。
ブザーと共に巨大なコンテナが、レーンに乗ってエレベーター内部へと運び込まれていく。
「凄いな」
「うん...」
私の呟きに、ラビだけが答えた。
私たちは流れていくコンテナの列と反対の方向へと向かうのであった。
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