202-アプレンティス傭兵
海賊が救援を呼ぶなんて、あまり聞かない話だ。
とはいえ、この数なら.....フォートモジュールで蹂躙できる。
「ノルス、フォートモジュールを起動する、サブワープドライブを推力に移行」
「了解、推力減変更、サブワープドライブに回すパワーコア出力を40%まで引き上げます」
アドアステラは距離を取りつつ加速、強化された重レーザー砲での精密射撃で敵のシールドごと敵を葬り去る。
「ドローン展開!」
「りょうかい! ブリッツシージ、10機投下!」
「私はどうする?」
「ラビはここにいて!」
「....分かった!」
戦闘機は要らない。
ただ、効率を上げるためにドローンを出しただけだからね。
アドアステラは現在、砲撃の火力が高すぎる状態にあるから、ドローンは火力支援にしかならないわけだしね。
「次はフリゲート! 近づかれる前に排除するよ、アリア!」
『ミサイルの発射システムと同期します』
こっちに円軌道を描いて向かってくるフリゲートは、パルスレーザーとミサイルで仕留める。
数が多いけど、何とかなりそうだな...
『ワープアウト反応、総数130』
「はあっ!?」
大艦隊クラスじゃん、何で...?
まさか、襲われている船は、そこまで重要な人が乗っている?
いや、そんなバカな...
とにかく、冷静に対処しよう。
「...全部戦艦!?」
流石に分が悪い、撤退するべきか...?
そう思っていた時。
『ワープアウト反応、総数4』
海賊が来た方向とは別の方向から、四隻の艦船が出現した。
直後、ローカル通信に降伏勧告が流れた。
『海賊共に伝える、手を引け。さもなくば殺すぞ』
『ハッ、アプレンティス傭兵か、俺たちがビビるとでも?』
『残念だ』
直後、六隻のうち真ん中に位置している大型艦が武装を起動するのがモニターに見えた。
そして、
『五隻が武装起動、レーザー砲のようです』
こちらも砲撃を続行する。
幸いにも、向こう側から砲撃予定データが同期されているので、獲物が被る事はないだろう。
「シトリン、こちらが撃墜した艦にピンをつけて」
『了解!』
あの艦の武装は何だろう?
そう思っていた時、唐突に敵艦隊の中のうちの一隻が轟沈した。
直後、そこから爆発と共に何かが飛び出して、周囲の艦のシールドを歪ませた。
「....そうか、レールガンでクラスター弾を...」
シールドを貫通した仕組みはよく分からないけれど、当たった直後の挙動はクラスター弾のそれに似ている。
「ケイン、ドローンを撤退! 巻き込まれるよ!」
「りょうかい!」
私はキャッスルモジュールを起動し、アドアステラを戦闘モードに変形させる。
連射速度と手数が大幅に増大し、外側に位置している敵を仕留めていく。
今のアドアステラの一撃なら、大型艦だろうと一撃だ。
海賊側からの艦船間通信を無視し、私たちは冷静に敵を殲滅するのであった。
撃破数では大幅に上回った私たちだったが、文句を言われるかと思っていたのだが...
『お前たち、ゴールド傭兵だろう? なかなかやるな! 次は負けんからな!』
そう言い捨て、アプレンティス傭兵は去っていった。
そもそもアプレンティスって何かと言うと、傭兵ランクの上から四番目のランクである。
私たちが今いるのが「ゴールド」。
その次が「プラチナ」、「ダイヤ」と続いて、アプレンティスになる。
あの艦隊はアプレンティス傭兵、『ユルト・ブラウミュラー』の艦隊で、「はぐれ傭兵船団」というグループを組んで活動しているようだ。
「まさか、女の人だったとはねー!」
「浮気するなよ」
「私はカル一筋だから!」
ユルト・ブラウミュラーは白銀の髪と褐色の肌を持つ女性で、その周囲も全員褐色肌の人間だった。
出身が特殊で、家族での旅のようなものなのかもしれない。
まあ、今後関わる事もないだろうから、私は仮面をつけて通信に応じた。
気持ちのいい人だった、とだけ言っておく。
「さあ、ケラカプライムに着くよ!」
予定通り、私たちの船はケラカプライムの軌道上へとワープアウトするのであった。
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