201-ケラカ星系
それから二週間後。
私たちは、ケラカ星系へと入った。
長く苦しい旅だった...主に、ソフの扱いに。
彼女はとにかく卑屈で、身体も殆ど動かないのに必死で働こうとするので、仕方なく暇そうなアリアを担当にしてなるべく安静にさせるようにした。
「交通量が少ないのですね」
「まあね...」
私は、ファイスの呟きに応える。
ケラカ星系は治安が良く、あまり人通りのない星系でもある。
惑星からコロニーまで、ほとんどが農業に特化しており、王国の胃袋ともされている。
だから、私たちの休暇には丁度いい筈だ。
「ケラカプライムに向けてワープ開始」
アドアステラを、ケラカプライムにワープさせる。
農業惑星らしいし、一面の畑が見られそうだ。
この国でもよく飲むお茶も生産されているらしいし、採れたてを呑めるかもしれない。
「ローカル通信も静かだし、治安もそこそこいいみたい」
流石に食糧単体では、奪っても何にもならないからだろう。
かといって、誘拐の上での奴隷は輸送の手間がかかり過ぎる。
だから、ここにはほとんど海賊がいないのだろう。
「それで御主人、ここでは何をするのですか?」
「うーん、どうしようかな」
休暇のつもりだったので、特に何かするという発想には至らなかった。
とはいえ、せっかくゴールド傭兵なんだし、何かしたいな...
「そうだ、試験を受けるよ」
「試験...もしかして、プラチナランク必修のアレ?」
「そうそう」
ラビは流石に知ってるか。
ゴールド→プラチナになるためには、ただ功績だけを示せばいいわけではない。
戦功に加え、企業からのある程度の信頼度、そして知識が必要になる。
そして、これが不要になる特例はほぼ無い。
「いつか受けなければいけないなら、今受けちゃおうと思うんだ」
「うん、いい選択肢だと思うよ」
休暇でありつつ、今後に役立つ休みになる。
それで大丈夫な筈だ。
「...!」
おっと、ようやくか。
何も無いと思ってたらこれだ。
画面に赤いポップアップが出て、見てみればSOS、救難信号である。
性能の低いワープドライブ搭載艦は何度も休憩を挟んでワープするから、そこを海賊に狙われたのだろう。
お腹減ってるのかな?
「星系軍より先に救出して報酬をぶん取るぞ」
「やけに意欲的だね、カル!」
「当たり前だ」
教材費は高いだろうし、少しでも貯金は増やしておきたい。
私はワープを強制停止し、船を減速させてSOSビーコンの発進ポイントにアドアステラを向けた。
「ワープ!」
『ワープトンネル、離脱まで残り45秒』
「それじゃあ私は、探索艇でいいのかな?」
「ああ」
戦闘が終了していた場合、遺体の回収をしなければならないからね。
私たちは急いで戦闘準備を終わらせ、ワープ終了に備えた。
帝国軍が使っていたようなインターディクションのような武装もなく、アドアステラは通常空間に飛び出す。
「...意外と少ないな」
「要警戒だよ、カル」
「勿論」
いつの間にかにじり寄って来ていたラビが、私の肩にもたれかかる。
多分、サポートをしてくれるんだと思うけど...首筋に息がかかって落ち着かないな。
「ノルス、機関出力を少し上げて」
「はい」
「一定距離を取って砲撃する」
砲撃の光が、一瞬眩く輝いた。
すぐ後に、敵のフリゲート艦が轟沈するのが見えた。
続けて、もう一隻を撃ち、沈める。
旗艦らしい一隻に狙いを定めたその時。
『ワープアウト反応、総数...50』
「何だって?」
...何だって?
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