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198-エミドの少女

こうして私たちは、強大な敵を打ち破ったわけだけど....


「どうしよう、これ......」


エミド主力艦から、私たちはこっそりいくつかのパーツをサルベージしていた。

パクったらヤバイって話だったけど、どうやってバレるのかも分からないので売却して連帯責任にすればいい話だと思ったわけだ。

なんだけど.....


「そりゃあ、コンピューターだけで運用してるわけじゃないんだろうけど....」


船のコアスペースに当たる部分に、ポッドが入っていて...

それも回収してしまったらしい。

ポッドは棺のような形状をしていて、耳を近づけると呼吸音が聞こえてくる。

脇の装置は生命維持装置らしく、ゲージの類は無い。


「開けてみるしかないよね」


仲間に確認を取る。

全員が武装した状況で、私はポッドを開けた。

中から保存液らしい液体が漏れて、床に溢れる。

その中から現れたのは、赤い髪の少女だった。


「....女の子?」

「ライバル出現かなぁ~~~~?」


ラビが拳を握り締める。

私は中にいた少女を引きずり出して、その体を観察する。

瘦せぎすの体だ。

でも問題はそこではない。


「あれ.....もしかして、これ...」


間違いない。

ファイスたちに元々仕掛けられていた、インプラントと同じものだ。

とりあえず、みんなでポッドごと担いで医務室に運ぶ。

そして、医療ポッドに女の子を放り込んで起動する。

不正なインプラントを除去して、適切な栄養素を投与。

同時に身体構造もスキャンする。


「...種族情報一致、ラダリアⅡのフィミア人種とディルシャⅤのロキャーテ種族のハーフ...かな?」


オルトス王国じゃなくて、ホーエンティア帝国の人間だけど...

そもそも、なんで正体不明の敵の中枢部にホーエンティア人が...


「まさかっ」


全ては最初から繋がっていたのだ。

これは私の推察だけど、エミドは定期的に奴隷を「作る」。

星を襲うなり、船を襲うなりして奪った人体を加工して、インプラントを埋め込み都合のいい奴隷へと変える。

そうすれば、船を操るのに丁度いいくらいのブレインが出来上がるわけだ。

そしてその技術はいつかの段階で海賊に奪われていて、オルトス王国における奴隷化行為の一端として使われている...

そういうことだと思う。


「...とりあえずアリア、手伝って。寝室に運ぶから」

「はい」


ポッドに入っていた彼女は一糸纏わぬ姿だった。

まだまだウブな船員たちには刺激が強いと私は思った。

私より年齢的には低いから、アリアと私の中間くらいの存在だ。

起きるまで待っているのもアレなので、みんなにワープ中の船内での仕事を割り振り、ラビと私で彼女の様子を見る。


「...ん」


その時、少女の瞼が動いた。

慎重に見守っていると、彼女はそのまま目を開けた。


「起きたぞ」

「...こ、ここは...?」

「ここはアドアステラ、宇宙船内部だ」


私はなるべく刺激しないように話しかけた。けれど彼女は怯えるばかり。

ラビを見たけど、


「...ごめん、カル。...それ、何語?」


と言われてしまった。

王国語を何故か喋れる私だけど、どうやら他国語もカバーできるらしい。


「...新しいご主人様ですか?」

「?」

「わ、私...ソフと言います、夜伽と水汲み、それから...」

「待て、話が見えない。俺は君をエミド主力艦の内部から保護しただけで...」


彼女は困惑を深めるばかりで、話にならない。

ラビをもう一度見ると、ラビは苦々しい顔をしていた。


「...まずいな」

「どうした?」

「この子の惑星、未開拓惑星だ」

「...それが?」

「王国だとそうでもないんだけど、ホーエンティアだと自然保護の名目で、国民及び外国人の惑星降下は法律で禁止されてるんだ」

「じゃあ、この子は家には戻せない?」

「そうだね...そもそもエミドに攫われてる時点で、もうこの子の故郷は...」


可哀想な身の上だった。

別に同情はしないけど、最低限暮らせるようにはしてあげようかな...


「ヒッ...」

「安心しろ。俺はお前に興味はない」

「私を...殺すんですか?」

「いや、俺は奇特なことに奴隷を娘として育てる異常者だ、お前にもそれを受けさせてやる」


こういうタイプはこれくらいの力技でもいいってお兄ちゃんも言ってた。

まずは信頼を構築する段階だしね。


「...私、いいのですか?」

「それに、痩せた女を抱く趣味はない」


なんだか知らないけど、夜伽ってベッドの上でああしてこうするような事だよね。

つまり、こう言えば主人に尽くす以外に思考回路がないと思われる今の彼女は生きる気になってくれると思う。

攫われる前も低い身分だったようだし、その辺もおいおい聞いていこう。


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