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異世界の宇宙に船ごと転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜  作者: 黴男
シーズン7-Ve’z&エミド調査編

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196-集束せし裁きの光

カルが考案したものは、すぐにシトリンによってブラッシュアップされ、艦の前部に取り付けられる。


「主人、これは一体何なのですか?」

「知りたいか?」


カルは問い返す。

彼女の中で、一つのアイデアが形になったのだ。

頷くファイスに、カルは言った。


「主砲の出力に上限はあるが、本来はもっと高出力を出せるはずだ。少なくとも、ワープドライブのエネルギーを空っぽにするほどのエネルギーがあれば、より威力を上げられるはずだと」

「それがどう...ああ、なるほど。素材が耐えられないのですね」

「そうだ」


限界まで出力を上げると、今度は砲台が耐えられない。

そこでカルは、とある閃きを得たのだ。


「シールドが塞がるまでのその一瞬で、敵の装甲を一瞬で貫通さえできれば、修復するまでの間砲撃がいくらでも差し込める」

「しかし、これまでのレーザー方式では、一度に多量の電力を荷電する事はできないはずです」

「大丈夫、これはそういうのとは違う」


カルは、Ve‘z人たちからもらった知識に目をつけた。

彼等は、力場を生成してそこに多量のエネルギーを放出、それに指向性を持たせて発射する武器を使っていた。

力場を砲身代わりにし、放出したエネルギーを高密度に圧縮して放つ砲撃。

それを再現するのは、原理さえわかってしまえば難しいことではなかった。

問題は...


「主人、武器のテストは?」

「そんな暇あるか」


正真正銘の一発勝負ということだ。

艦の前面に取り付けられているため、暴発したとしても被害は少ない。

射程距離が短いため、仮に暴発しても敵と痛み分けで済む。


「このまま敵に突っ込む! あいつの武装の都合上、張り付かれると弱いはずだ!」

『了解! 新兵装『ロードメイカー』起動』


艦の前面部にいるファイスが、即席のギミックを発動する。

アドアステラの前面の傾斜部分が開き、そこから砲身が突き出た。


『エネルギー充填缶に伝送開始』


アドアステラはそのままエミド主力艦の至近距離まで迫り、アリアがミサイルを連射する。

それによって、エミド主力艦のシールドは厚紙が破れるが如く崩れ去り、射線を通した。


『エネルギー充填率、89%』

「安全装置解除、注入弁開放準備完了」

「分かった、流出制御磁場発生!」


光と化した、本来であれば変調されるはずのレーザーの“もと”が、砲身の奥で爆発的に膨れ上がる。


『エネルギー充填率、100%』

「撃つ」


カルはただ、そう命じた。

直後、注入弁が開放され、エネルギーの奔流が磁場による導線を伝って外へと噴き出し、割れ目から噴き出したジェット水流のような威力と勢いを持ってエミド主力艦の装甲に衝突し、指向性を持たされた破壊エネルギーが、その装甲を融解させ、その内部に鉾のように突き刺さったのちに爆発した。


「やった...のか!?」


アドアステラは爆風で吹っ飛ばされ、スラスターを吹かしながら減速する。

シトリンによって砲撃が行われるものの、射撃は空中で霧散してしまう。


「どうした?」

『エネルギー伝送管に異常発生、エネルギーが収束できません』


砲撃ができないアドアステラの前に、ボロボロになったエミド主力艦が姿を現す。

損傷が激し過ぎて、修復もままならない状態であった。


「まさか、仕留め損なったか...!」


エミド主力艦は、頭頂部の武装を起動させ、薙ぎ払った。

アドアステラの側面を薙いだ直後、融解した装甲が爆発する。


「く...」


主力艦を仕留める余力は、アドアステラには残されていない。

そして運の悪い事に、主力艦の注意は完全にアドアステラに向いた。

艦隊を逃すことはできそうだが、推力も満足に得られないカルたちは、船を捨てるほかない。


「船を...嫌だ」


兄から貰った大事な船。

仲間と共に過ごした大事な船。

それをこんな事で失いたくない。

カルが強くそう思った時。


『使え』


声が、響いた。

その声を聞いたカルは、一を聞き、百を知る。

何をすべきかを理解したのだ。


「ちょっと行ってくる」

「主人!? どこへ!?」


仲間の制止を振り切ったカルは、そのまま甲板に飛び出す。

そして、船の先端部に立った。

未だ放熱を続ける砲身の上に立ち、カルセールを取り出して構えた。

直後。


「...これは!?」


カルセールが、変形した。

その銃身近くが、外側に向けて連なるごとに広がる三つの歪な円の形になり、銃身を走っていた赤い幾何学模様が、その円環の縁を高速で走り始めたのだ。

膨大な熱量が収束され、円環の最外縁に光の玉となって現れる。


「...撃てば、いいんだな」


カルはカルセールを構えた。

膨大なエネルギーがどこから来たのか、知る由もなく。

熱量が臨界に達し、カルセールが軋み始める。

エネルギーを抑えつける磁場を維持できなくなり始めているのだ。

解放しなければならない。

カルは引き金を引き、そして。


「うわあっ!?」


それは、塔の中でカルセールを撃った時と似ていた。

だが、それとは似て非なる現象であった。

解き放たれたエネルギーは一点に収束され、一筋の光となってエミド主力艦を差し貫く。

収束しきれなかったエネルギーが螺旋を描いて高密度の破壊エネルギーの奔流を生み出し、放たれた光の周囲にあったものを吹き飛ばした。

中央に大穴の空いたエミド主力艦は、機能を維持できなくなって静止したのであった。


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