192-エクスターミネーター
適当な距離の惑星付近にワープアウトしたアドアステラだったが、脅威は未だ去っていなかった。
すぐにエクスタミネーターがワープアウトし、アドアステラに襲い掛かった。
最悪の状況である。
カルという司令塔と、ベテラン冒険者であるラビが居ない状況で未知なる敵と会敵する事になってしまったのだから。
「私が司令官をやります、ファイス、推進カーネルを起動してください!」
「貴方に言われなくとも、そうしています!」
『エクスプローラーズキャンプへの帰還を推奨します』
シトリンはそう言いつつ、複雑な飛行機動でエクスタミネーターノクティラノスの砲撃を回避する。
だが、掠った一撃がシールドを破壊し、アドアステラを覆うシールドが消滅する。
「何て威力なのでしょうか....シトリン、撃ってください!」
「私がやります、シトリン殿は操舵に集中してください」
ファイスが砲台を操作し、発射する。
だが、射程距離内かつ充分に収束されたその一撃は、エクスターミネーターの張っているシールドに直撃すると同時に、まるで水が何かにぶつかったかのように弾けて拡散し、霧散して消えた。
「攻撃が効かない!?」
『敵の砲撃の精度が上がっています、一度別の惑星上にワープアウトしてやり過ごします!』
「わかりました! お願いします!」
アドアステラはすぐさまワープして、クルトラングⅡの凍り付いた惑星上にワープアウトする。
スラスターを全開にして加速し、ワープアウトしてきたエクスターミネーターから逃れる。
だが、アドアステラに乗る全員は知らなかった。
エクスターミネーターが、惑星表面上においてさらに強くなることを。
即座に加速したエクスターミネーターは、アドアステラの真上に回り込む。
惑星重力下でこれ程の加速をすれば、船体に負荷が掛かる。
しかしそれを容易にやってのけたエクスターミネーターは、悠々とアドアステラの上を飛んでいた。
その船体の真下に、膨大なエネルギーが集っていく。
『ローレンツ力を検知。仮想砲台と予想されます。射撃ルートを予測』
直後。
エクスターミネーターの下部から飛び出した光が、アドアステラに向けて放たれた。
アドアステラはスラスターを噴射しながらバレルロールし、それを回避する。
光は氷の下にまで突き刺さり、直後氷が蜘蛛の巣状に砕ける。
砕けた氷の下から眩い光が漏れ、それと合わせて水が噴き出した。
「凄い威力....」
震えながら戦闘を見ていたアリアが呟く。
光線の通過した場所が一瞬にして急速に加熱され、それに触れた水が爆発を引き起こした。
恐るべき威力だ。
だが、その威力に驚いている暇はない。
すぐに光が再び集う。
「回避してください!」
『実行中です』
再び放たれた光をアドアステラはギリギリで回避する。
光はアドアステラの眼前を斜めに切り裂いて消えた。
急速に熱された表面の氷が爆発的に気化して拡散する。
『ワープ準備完了、このままワープアウトします』
「お願いします」
アドアステラは、再びワープに入りその場から逃れた。
次の目的地はアステロイドベルトである。
シトリンは遮蔽物の多いその場所で、虎視眈々と機会を窺うつもりなのだ。
そして同時に、ストークに向けてメッセージを発信する。
『我々はこの地点に向かっています、可能であれば合流を』
カルさえいれば、司令塔としては十分。
そう判断したシトリンは、二人をアステロイドベルトに呼び寄せて回収する算段を立てたのであった。
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