190-焼き尽くす打破の光
「このっ!」
私はニケの安全装置を外して撃つ。
前世のマシンガンの映像顔負けの連射で撃つが、当たらない。
私の腕云々じゃなくて、相手の動きが人間的じゃない。
関節がないみたいに曲がる。
「くぅっ....!」
直後、私の死角を取ったVe’z人が、拳を私の腕に向けて突き出してきた。
丁度アームガードのある部分だったので、シールドを発生させて防ぐ。
「何て威力だ」
私は勢いを利用して後退する。
パワードカナードと戦ったときとよく似ている、あっちとは比べ物にならないくらい強いけど....
『マスター、カルセールで破壊できないのですか?』
「そもそも当たらない!」
この閉鎖空間で、多少は相手の速度が阻害されているけれど....
こっちが付いていくのに精一杯だ。
「動きが見えない.....!」
私、これでも前世はお兄ちゃんに見捨てられないために頑張った。
武芸の心得もそれなりにあるはずなんだけど.....
こいつの動きは異常だ。
関節外しもそうだけど、私の動きを常に見ながら最適の軌道で攻撃を加えてくる。
それだけじゃない。
ニケの射撃を見てから回避している。
明らかに人間じゃない。
「くっ......」
カルセールを使うしかない。
だけど、カルセールは全部で六発しか打てないうえ、こいつ相手には.....当てられる自信がない。
ぼうっと戦っているうちに、壁際に追い詰められた。
シールドを張って攻撃を防ぐ。
「手詰まりかな....」
やっぱりさっき、ファイスを呼んでおけばよかった。
今からじゃ間に合わない。
「じゃあ、仕方ない....かな」
カルセールを抜く。
そして、発射態勢に入る。
......けど。
「止まった....?」
急に、奴の動きが止まった。
カルセールをしっかり見て、静止している。
「.......まあいいか」
引き金を引く。
放たれた光が、収束されずに前方を薙ぎ払った。
シリンダーが回転して、次弾を撃つ準備が整う。
まだ動いているそれに向けて、私は非収束弾をぶっ放した。
「.....初めて見る現象だ」
カルセールは膨大なエネルギーを一つに束ねて発射するから、今みたいな収束しない射撃は初めて見る。
.....とはいえ、これで先に進める。
「....普段からそれが使えると便利なんだけどなぁ」
私はカルセールの銃身を擦ると、ホルスターに仕舞った。
障害は排除した。
このまま上まで行く。
最上階にたどり着いた私は、そこにある端末にカルセールを翳す。
カルセールから伸びた光が装置を起動させ、どうやら記録媒体らしい遺物に情報を送信する。
『......マスター、未知の現象が発生しています』
「何が起きてる?」
『外壁が発光しています』
「....何?」
『外壁が光ってます、周期的に強度が増している様子です』
ノルスの声が伝わってくる。
「.....まあ、いいか」
私は引き続き、情報の引き出しを続けるのであった。
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