187-根絶者の囁き
Ve’z領域、深部。
そこでは、一隻のVe’z艦が航行していた。
『ラジ........ハイ.......異.....生......』
Ve’z艦はそこで進路を変え、別の構造物に向けて瞬時にワープする。
そこは、アドアステラが見つけたものより遥かに高度な技術で遮蔽された建造物である。
その名は『情報結節点』。
十個の長距離精神伝送装置に囲まれた、Ve’zの利用するデータバンクである。
『......ラジンハイエ 異常侵入 管理者権限 行使 確認 確認 必要』
Ve’z艦はそう呟くと、転進する。
その星系には、とある装置が存在する。
『古き星の回廊』と、古い時代にこの星系までやって来た探検家たちはそう名付けた。
Ve’zに関係する者しか起動できない、ワームホールを形成する装置である。
『起動 座標入力』
古き星の回廊が起動し、その中心点に空間の歪みが生まれた。
Ve’z艦はその中心へと入り込み、その星系を後にした。
ワームホールを抜けたVe’z艦は、その先のワームホール星系と呼ばれる場所を通る。
次元の狭間に存在する、基底世界とは異なる世界に存在する星系である。
そこにも『古き星の回廊』は存在し、Ve’z艦が接近すると遮蔽装置が解除され、無の空間から構造物が出現した。
『移動 座標入力』
Ve’z艦はワームホールを生成し、再び飛び込んだ。
その先は――――ラジンハイエと呼ばれる星系であった。
『ゲート 確認』
Ve’z艦は、ラタトヴィア星系に接続されたゲートまでワープする。
そして、精神感応波を照射してゲートのシステムに干渉する。
『履歴 不明 艦船 確認 艦種 巡洋艦』
ゲートには、直近のゲートを利用した艦船のデータが記録されている。
これは、パラライシスリンクでは把握できない深部の領域に記録されているのだ。
『巡洋艦 Ve’z 構造物 確認 継承 ?』
Ve’z艦は動き出し、アドアステラが見つけた構造物に向かって移動する。
そこは、Ve’z艦の一時的な係留地点であり、重要なデータを保管しているわけではない。
今回Ve’z艦がここを訪れたのは、データ漏洩についての懸念があるわけではない。
「どうやって」遮蔽装置を解除したのかが分からないのである。
付近に重力場があれば解除されてしまうような、旧式の遮蔽装置ではないのである。
存在は分かっても、周囲からは見えずセンサーにもかからない、その超高性能な遮蔽装置を破ったともなれば、数百万年前に主から下された命令「監視せよ、すべてを」を実行し続けるVe’z艦には興味深い対象であった。
『管理者 接続 履歴 確認 監視者 情報 確認』
カルセールによる干渉を確認したVe’z艦は、その情報の成否を確かめたのち、すぐにクルトラングのゲートへと向かう。
『ゲート 履歴 確認 履歴 なし』
Ve’z艦はゲートへと入り込み、クルトラング星系に移動する。
そこには、探検家たちが築いた古いストラクチャがある。
そこをスキャンしたVe’z艦は、内部に生体反応がないことを確認する。
『厳戒 体制 構築』
Ve’z艦――――――――スカウト・ノクティラノスは、クルトラングに存在する超巨大なVe’z艦艇の「巣」を訪れた。
『A-Rought 偵察兵 用件 ?』
『監視者 確認 各自 警戒 態勢』
『確認 警戒 高度 段階 移行』
こうして。
クルトラングに潜む者たちが動き出す。
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