176-ハダウガゴ奪還戦-アステロイドベース攻略戦(中編)
ワープしてきた艦隊は、何の躊躇もなくアドアステラに向けて撃ってきた。
だけど、アドアステラは動かない。
動く必要がないからだ。
「ファイス、燃料状況!」
「残り四十二分です!」
アドアステラは現在、「キャッスルモジュール」を起動している。
こちらは光子燃料を消費するタイプで、推力を十分に確保できるのが特徴だが、動く必要がないというのは何でか?
それは、動かないとその分硬くなるから。
キャッスルモジュールのシールド強化の位相的同調がどうとかで、シールド強化効率が増大するみたい。
アドアステラは現在攻撃モードに変形しているが、その機体のあちこちから金色の粒子がリークしている。
これがキャッスルモジュールのエフェクトというか、活性化した光子エネルギーの排出を行っているようで、凄く目立つ。
その代わり、光学センサーから見れば妨害膜も同然で、そちらの精度は低くなっているけれど。
『敵艦隊、左右に展開。密度を減らし、誘爆に巻き込まれないようにしているようです』
「そうか」
接触炎はシールドに対しても危険だ。
アドアステラの砲撃を避けるという意味かつ、対象を広範囲に拡散させることで手間を増やそうという魂胆かな。
「殲滅する! アリア!」
「はい!」
アドアステラの左右舷のミサイル発射管から、ミサイルが山のように放たれる。
直後、ノルスの左右にキーボードが展開され、ノルスがそれを操作し始める。
この山のようなミサイル群を誘導し、迎撃ミサイルを回避させる動作をノルスが指示するのだ。
『敵艦隊より迎撃ミサイルを感知』
「ノルス、ミサイルの推進剤を抑制! シトリン、前面のパルスレーザーで迎撃ミサイルの数を減らせ」
『了解』
迎撃ミサイルの数を減らし、着弾数を増やす。
パルスレーザーの連射能力なら、それが出来る。
『敵艦への射程距離内に達しました、ミサイルを起動します』
直後。
飛んでいたミサイルが空中で開き、無数の小型ミサイルを投射して分解する。
小型ミサイルは広範囲に散開して起爆、シールドを粉砕する。
「支援艦隊に命じる、プライマリターゲットを分配する故に、集中攻撃で沈めろ!」
『了解!』
味方の戦艦はアドアステラほど強くはない。
だが、戦艦相手に殴り合うくらいなら、余裕だ。
王国式ヘビーフォーカスレーザータレットであれば、射程は250km程度。
敵艦との相対距離は83kmで、速度差は22.2km/h。
これなら、戦艦相手であれば誤差なく着弾する。
シールドは減衰しているから、四発ほどで破壊できる。
それよりも、こちらは別の対象を撃たないといけない。
『敵の戦闘巡洋艦、戦列を離れます』
「ドローンをそちらに回せ、ケイン!」
「はいっ!」
ドローンでワープコア付近を狙い撃ちにし、正常にワープできないようにする。
あれらが王国艦隊に到達すると面倒だからね。
『敵艦の損耗率、62%』
「支援艦隊に命じる! キルゾーンより離脱せよ、こちらの兵器を使う!」
『了解!』
半数を失ったことで、敵の増援艦隊は転進、逃げの姿勢に入った。
だけど、こちらにはWDAがある。
これを拡散放射すれば、ワープコアに異常を起こさせられる。
『味方がWDAの範囲から離脱』
「ファイス、放射開始!」
「はっ!」
WDAを発射したが、敵の速度が落ちない。
「まさか、効かない!?」
『敵艦、ワープベクトルを中止。ワープコアの活性化を阻害されています。ただし、ワープコアに機能障害見られず』
「使ってるワープドライブの種類が違うのか....」
海賊にも効くから、勝手に効くモノだと思っていた。
だけど、そういえば王国では一般的ではないインターディクションフィールド発生アレイを使う技術があるのだから、ワープコアが多少頑丈でもおかしくないよね。
「仕方ない、集中砲火で主力だけでも落とす! ファイス、妨害コアに注水!」
「了解!」
私は引き続き妨害を持続させ、敵艦をこの短時間でなるべく減らすべく指示を出すのであった。
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