170-援軍到着
特殊なモジュールを使用しないアドアステラの戦闘力は、精々が元々の巡洋艦か、それより上の巡洋戦艦止まりである。
しかし、改造によってアドアステラの戦闘能力はフォート、キャッスルモジュールなしでも戦艦クラスに引き上げられている。
「撃て!」
カルの命令により、砲撃が戦艦四隻を即座に葬る。
それでも三十秒ほどを要するが、しかし驚異的な攻撃能力である。
『友軍の損害拡大! 艦種識別! アドアステラ、プライマリー指定の傭兵です!』
『戦艦の艦長全員に告げる! コード:Xを集中攻撃せよ! レーダーに情報を共有する!』
アドアステラに砲撃が集中するが、物凄い加速を見せたアドアステラはそれを振り切る。
それを戦闘機隊が襲うが、
『隙だらけだよ!』
真横から迫ってきたホワイトレイヴンが、誘導なしでミサイルを直射する。
ミサイルは戦闘機隊の進路へと飛び、爆発して戦闘機隊の半数を撃墜、その他を撹乱する。
そこに飛び込んだホワイトレイヴンは、平衡感覚を失ったエースを死角から撃墜する。
エースを失った編隊は離散し、変態機動で方向を変えたラビによって一機ずつ撃ち落とされる。
「全く、元気なものだ」
ルークスはアドアステラの戦いぶりを見物しつつ、前衛の小型・中型の艦船を撃沈して回っていた。
ルークスは前方の二門で対シールド物理弾頭を発射、シールドが貫通したところに徹甲弾を2、3回撃ち込んで撃沈する。
「我は彼のようには行かぬが――――しかし、出来ることがあるのであれば、それを思い切りやるというものよ!」
クロスはふと、残弾表示を見る。
そこには、半数以下に目減りした実体弾が出ていた。
「長くは戦えんか......頼むぞ、カル!」
アドアステラはスラスターを噴射し、速度を殺さずに移動し続ける。
その砲撃は変わらず、ビージアイナの戦艦群に致命傷を与え続けていた。
『包囲せよ! 包囲して被弾率を上げるのだ!』
「アリア! グラビティミサイルを発射!」
「はい!」
アドアステラを包囲する戦艦艦隊だが、アドアステラが発射したミサイルが起爆したことで、砲撃の精度が下がる。
ビージアイナ側は陽電子砲のため、砲撃が重力傾斜の影響を受けるのだ。
対してアドアステラ側は純粋な変調レーザーのため、シールドを切り裂き、その装甲に穴を開け、内部にまで食い込む事が出来るのだ、何の影響も受けることなく。
そして、
『敵の電子戦装備です! こちらのロックオンが安定しません!』
『こちらもです! ミサイルの軌道が逸らされています、疑似熱源による攪乱工作と思われます!』
シトリンによる電子戦が行われ、アドアステラの信号と光学的観測に妨害が掛けられる。
だが。
『六時の方向より高エネルギー反応! 回避できません!』
「くっ!」
クロムセテラスの砲身の一つがアドアステラを狙い、放った。
遥かに大型のレーダー・スキャナーを持つクロムセテラスは、全く妨害されることなくアドアステラに攻撃を加えたのだ。
その圧倒的な熱量に押され、アドアステラは真横に吹っ飛んだ。
「損害報告!」
『シールド消失! 右舷装甲に熱的損傷!』
シールドを失ったアドアステラは、一時的に静止する。
そこに戦艦が、一斉射撃を加えた。
「シールド復旧急げ!」
「今、やっています!」
カルが叫ぶが、シールドへの過負荷でシールドが復旧できなくなっていた。
アドアステラはアーマー防御の艦ではないため、戦艦の砲撃を受ければただでは済まない。
速度を上げ、包囲を振り切る動きに転じ始める。
『クロムセテラス、全砲門をこちらへ向けています』
「くっ.....仕方がない、ワープで一度離脱――――」
ワープ機動に入ろうとしたアドアステラだったが。
その時、アドアステラを追い越すような形で艦隊がワープしてきた。
全ての艦の色が、金色に塗装されている。
『あれは.......王国騎士団です!』
『王国騎士団の艦隊が出現! 総数、1820!』
そして最後に。
アドアステラの眼前に、一つの巨大な艦がワープしてきた。
「シトリン、あれはなんだ?」
『データ識別。恐らくですが、王国騎士団所有の主力艦船『アルタートゥラス』です』
主力艦が現れた。
それは即ち、この戦場にたった一つの希望の光が現れたに等しい。
『王の命令だ、コード:Xに指定した艦、アドアステラを守れ!』
『『『『『了解!!』』』』』
王国騎士団の艦隊が動き出し、残った戦艦群と交戦を開始したのであった。
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