149-新たな仲間・ラビ
こうして、私たちは海賊の要塞を攻略し、多額の賞金と報奨金を手にした。
……のだが。
「麗しの人~」
「ちょ、くっ付くな」
意外なおまけがついてきた。
ラビは私たちの手で病院に搬送され、高性能な医療ポッドで治療を受けた。
……のはいいんだけど、彼女は本当の意味で一文無しだった。
船もないし、保険は受け取ったようで少しばかりのお金は得られたようなのだが、行く当てもないとのことで.....私たちに同行すると言い出したのだ。
ということで、今はショッピングに出ている。
ラビのための雑貨類をそろえるために。
「ラビって、どんな服が好きなんだ?」
「麗しの人が選ぶなら、何でもいいよ」
ちなみに助けてから知った事だが、ラビとファイスは同郷だ。
同じロートラ狼人と、兎人だ。
そして、同時に衝撃の事実も。
「男用でいいんだよな?」
「麗しの人~....そんなに大声で言ったら、恥ずかしいよ?」
兎人は、雌雄同体なのだ。
つまり、そ、その.....下半身のあれも付いているという事だ。
お兄ちゃんも同じだけど、ラビはちょっと怖い。
「別に問題ないでしょう。そんな事を気にするような人間はいませんから」
そして、ファイスも怖い。
人を殺すような目でラビを常に見ている。
「何ー? 嫉妬してるの?」
「そのような事はございません」
「ラビ、ファイス。やめろ」
私は二人の睨み合いを止めさせる。
ラビは肩をすくめ、ファイスは鼻を鳴らした。
仲違いに繋がらなければいいけど.....
「ラビ、何か食べたいものはあるか?」
「麗しの人が振舞ってくれるなら、何でも!」
その後もショッピングをしたけれど、ラビは主張に主体性がなくて全部私のお任せだった。
どうしてそんなに私に任せるのか聞くと、
「麗しの人、あなたは私の恩人だからね~当然だよ~」
と返ってきた。
どうも洗脳されていた時の記憶があったみたいで、カルセールで救われたことを覚えているらしい。
それに、
「強い人に惚れるのは獣人の特徴だよ~麗しの人♡」
とべったりくっ付かれたので、本当なのだろう。
更に掘ってみると、
『ロートラの兎人種は生涯に一人しか伴侶を作らない、その伴侶を溺愛する』
等という情報まで出てきてしまった。
益々振りほどけなくなっちゃった。
「麗しの人~一緒にお風呂入ろう!」
ホテルに帰るなり、お風呂に誘われた。
まだグラーム星系だが、最終日も近いしという事で、全員でホテルに泊まることになったのだ。
「いいが」
「いいの!?」
私は仮面を外す。
「同性みたいなものだから、構わないよ」
「ええっ!?」
ラビがとても驚いた顔をする。
そういえば、最近は仮面が慣れっこになって、常に着けている。
確かにそれだと、驚くのも無理はないか。
「女の子だったんだね、麗しの人!」
「うん」
「でも...それだと、私はどうすればいいんだろう? 婿? それとも嫁?」
「今は、友達で!」
私は上着を脱いで、ラビと共に更衣室へ向かうのだった。
『ラビ・ティルニア』 年齢:26 性別:両性
ロートラ兎人。
ゴールド資格所有者であるが、3年前のフラルン星系襲撃事件にて行方不明。
死亡扱いでランクを凍結されていたが、現在は解除済み。
二つ名は『冷徹なる長耳』。
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