表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の宇宙に船ごと転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜  作者: 黴男
シーズン5-ショートバケーション編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/272

146-驚異の獣人

一瞬、最初から敵だったのかと思った。

だけど、明らかに様子がおかしい。


「ラビ! どうした!」

「.........」


ラビの目はこちらを捉えているけれど、その目には何の感情も浮かんでいなかった。

無言で肉薄、回し蹴りを放ってくる。

一瞬受け止めようと思ったけれど、やめた。

受け流して、投げ飛ばす。


「はっ...! えっ!?」


だけど。

投げ飛ばそうとした瞬間、その腕を掴まれた。

遠心力を殺したラビは、私を地面から引き剥がして投げ飛ばす。

受け身を取ったつもりだったけれど、返し技を返されたことのショックで、壁に激突する。


「がっ!」


視界が一瞬白くなる。

慌てて手甲のシールドを起動すると、重い衝撃音が響いた。

ラビの蹴りがまっすぐにシールドに刺さったのだ。


「くっ!」

「......」


シールドを押し込んでから消し、姿勢を崩して殴打を打ち込むが、大抵は避けられる。

そして、ギリギリ知覚できる程度の速度で反撃が飛んでくる。

それを受け流して、カウンターを差し込み、返される。


「(ニケを抜く暇がない!)」


第一、狙う暇もない。

向こうのほうが遥かに身体能力が上で、意識があったなら私でも勝てないはずだ。


「.........」

「ぐっ、う!」


余計な事を考えている間に、飛んできた蹴りをかわす。

だが、それは“誘い”だった。

いつの間にか、私は壁側に追いやられていた。


「しまっ...」

「......!」


強烈な殴打が、私をかすめて壁に突き刺さる。

ファイスのものと同じ、対物装甲を難なく突破する驚異の力だ。

壁が崩れて、虚空が現れた。

メンテナンス用の外周部空洞だろう。

あそこに落ちたら、100mは落ちることになる。

いくら私でも無事ではいられない。


「.........」

「やっぱりか」


ラビは私を、その虚空へと追いやるつもりのようだ。

ジリジリと距離を詰め、左右への隙をなるべく減らしている。


「(だったら、逆に利用してやる)」


私は構える。

そして、ラビの可動範囲ギリギリで仕掛けた。

当然、返されて動きを封じられる。

でも、今回は私の足が地面についていて、ラビはギリギリで私を抑えたせいで重心が安定していない。


「うおぉおおお!」


私は片足を軸にして反転、ラビをそのまま虚空に突き落とす。

ただ一つ、誤算だったのは...


「っ、まずい!」

「.........」


腕を振り解けなかった事だ。

私はラビごとそのまま空中に放り出される。

この場合、叩きつけられなかった方が生き残るという事になる。


「こうなったらっ!」


私はニケを抜こうとするが、蹴られた反動でその手を弾き飛ばされる。

ニケは遥か下へ向けて落ちていく。

どうしよう、カルセールのエネルギーはもうないし...

助けて、お兄ちゃん...


『本当にどうしようもなくなった時は、最悪の手段に出てみるのも一つの手だ。自分が考える中で、もっとも最悪な案を。やってみて損は無いはずだ、やらなかったら得も損もないんだからな』


その時、お兄ちゃんの本当に古い記憶が蘇って来た。

私が挫折しそうになった時、お兄ちゃんが私に言ってくれた言葉。

私だけの...言葉ァ!


「.........」

「見せてやる! これが俺の、真の力だ!」


私はそう叫びながら、手甲から大容量エネルギーパックを抜いた。

そしてそれをカルセールにあてがい、そのエネルギーを急速に回復させていく。


「(ラビを振り解くのは、生半可な力ではダメだ)」


最悪の策を実行する必要がある。

私はエネルギーパックをラビに投げつけ、ラビがそれを掴むのを確認した。

カルセールを、これまでのどの速度よりも速く抜き、撃つ。

シリンダーが回転し、エネルギーパックをレーザーが貫いた。

堰を切って溢れたエネルギーが、カルセールのレーザーに反応して大爆発を引き起こす。

手甲の緊急用バッテリーでシールドを起動して、何とか自分だけを守る。

ラビは私の腕を離して、爆風に巻き込まれた。


「さて...」


着地の心配をしないといけないな、と思っていた私だったけれど、何かに攫われて地面へと降り立った。

振り返ると、ファイスが私を抱き締めていた。


「ファイス...」

「御無事ですか?」

「当たり前...だ」


実を言うと無傷ではない。

手甲は完全に潰れて、パワードスーツは耐久限界でボロボロだ。


「元ゴールド傭兵であの強さなんて...」


理不尽だ、と私は呟く。

そもそも、あの首輪さえなければ敵対することも無かった。


「...まだ、全然元気みたいだな」

「ええ」


...ん?

首輪?

カルセールにはエネルギーがある...つまり、壊せるのでは?


「ファイス、これを使え」

「...はっ」


二個しかない高速再生ナノマシンユニットをファイスに渡し、私はこっちへ向けて駆け出してくるラビを目で追った。


面白いと感じたら、感想を書いていってください!

出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。

レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。

どのような感想・レビューでもお待ちしております!


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ