141-要塞外戦:アルゴ無双
その頃、要塞の外周部では。
シルバー傭兵を率いたアルゴが大暴れしていた。
『オラァ! 行け行け!』
『クソ、何なんだ、あの艦は!』
ネメシスはスラスターを噴射して加速し、近付いた艦にトルピードを打ち込む。
ジャベリンと呼称されるその種のトルピードは、シールドを貫いて海賊艦に突き刺さり、装甲に多大な損傷を負わせている。
『報酬は山分けだ! やっちまえ!』
『あざーっす!』
『気風がいいぜ、アルゴさんよ!』
そして、彼の周囲を並走するのは、シルバー傭兵の艦七隻。
アルゴに着いてきて、おこぼれを預かろうとしているが、アルゴはそれを堂々と許可していた。
荒くれ者、卑怯者、小心者...そんな彼らの扱いを、アルゴは心得ていた。
『囲んで叩け、所詮一隻だ!』
そして、海賊艦は広く展開し、ネメシスを取り囲む。
アルゴは落ち着いた様子で、コンソールを操作し、直後ネメシスの上部ポッドが何かを射出する。
射出された無数の円筒は、独自に旋回して向きを変えると噴射を開始し、海賊艦へ向けてバラバラに飛んでいく。
これこそが、オートマチック・マイクロミサイルである。
ガルトー社の新製品であり、最小の容量で、最大の威力を...がモットーだ。
『なんだ、これは!?』
『クソ、撃ち落とせない!?』
数十秒後、焔の華が暗闇で咲き誇る。
すかさずアルゴは、クルーズミサイルを発射し、シールドの消えた海賊艦にとどめを刺す。
『悪いが、これは俺の獲物って事でいいよな?』
『...へ、へっ。俺たちぁハイエナさぁ、あんたが全部獲るんなら、別に構わねえよ』
ネメシスはまだ沈んでいない数隻に接近して、トルピードを撃ち込んで吹き飛ばす。
そして、アルゴは接近してくる海賊艦フリゲート四隻に目を向けた。
トルピードやオートマチックミサイルでは対処の困難な相手だ。
『お前ら、シールドは俺がやる! 後はやれるな!?』
『がってん承知!』
『あんたの頼みとありゃあ、断れねぇぜ!』
アルゴはコンソールを操作し、ネメシス側面のミサイルポッドに精密ミサイルを再装填、連続で発射する。
それらは一直線にフリゲート艦へと向かっていき、迎撃や回避の隙を与えず爆発。
狭い面積に高威力の爆発を撒き散らす事でシールドを引き剥がした。
『ヒャッハアァァ獲物だァ!』
『アルゴさんに報いる時だぜェ!』
そして、シルバー傭兵の艦船がフリゲートに群がり、レーザー砲撃で確実な損傷を負わせていく。
『頼む、命だけは助けてくれ!』
海賊たちはそう懇願するが、
『情けは人の為ならず...ってな!』
『俺たちの糧になりやがれ、犯罪者ども!』
それを無視し、シルバー傭兵たちはフリゲート艦四隻を撃墜する。
海賊艦隊は完全に陣形を崩しており、それでアルゴ達の周囲には艦が完全にいなくなった。
『移動するぞ』
ネメシスとシルバー艦隊は密集陣形を取り、付近の海賊艦隊へと向かっていく。
移動中は暇なので、傭兵たちとアルゴは雑談をする。
その中で、一人の傭兵が質問した。
『それより、よかったんですかい? ゴールド傭兵が一人先に行かせちまってますが...』
『ああ、カルは構わねぇ』
アルゴはそう言い切る。
それに、別の一人が問い返す。
『ダチなんですかい?』
『いいや...あいつは俺のライバルだからな!』
白兵戦で勝てない分、対艦戦で差をつけてやる!
そんなアルゴの覚悟が、少しばかり見えるようであった...
『うわっ!? 敵さん、こっちに気付いたようですぜ!』
『散開! 稼ぎ時だぜ!』
アルゴはそう命じ、一斉にターゲットのロックオンを開始するのであった。
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