137-超技術導入
「アドアステラ、モードチェンジ!」
ジャンプ直後のアドアステラは、速度が完全に0の状態だ。
だが、モードチェンジとは――――文字通り、変形である。
アドアステラの各所が変形し、より推進に特化した形態へと変じる。
「ノルス! 機関出力は安定しているな!?」
「はっ、はい!」
「シトリン、サブワープドライブ起動」
『了解』
一瞬で亜光速に達したアドアステラは、38km程度の差を一瞬で埋め、敵艦隊の背後に回り込む。
「モードチェンジ、攻撃モード!」
アドアステラの船体が変形し、側面から左右それぞれ三基の砲台が追加で現れる。
このモードでは、アドアステラは推進機能を完全に喪失する.......と思いきや、サブワープドライブの存在のおかげで、通常航行が可能である。
兵器の連射速度が大幅に低下する代わり、精度と貫通力、射程が大幅に増大する改造であった。
「動きが止まったぞ!」
「殺せ!」
海賊たちは旋回しアドアステラを攻撃するが、そもそもアドアステラはデフォルトで硬い。
シールドがレーザーを打ち消し、反対にアドアステラの砲撃は数十隻を巻き込んで吹き飛ばした。
「モードチェンジ! 防御モード! ケイン、オネイロスを展開せよ」
「了解!」
カルはそう命じ、アドアステラはそれに応えて変形する。
武器が全て装甲の下に隠れ、艦橋部分が強化装甲で覆われる。
直後、アドアステラから飛び出した五隻のドローンが、その砲身を展開する。
所謂、セントリードローンである。
攻撃できない隙をオネイロスでカバーし、長射程のレーザーで海賊の巡洋艦を一隻ずつ撃墜していく。
「モードチェンジ! ノーマルモード! ケイン、オネイロスを仕舞え」
「了解!」
アドアステラは星系軍が接近しているのを確認した直後、ノーマルモードへと変形する。
そして、フォートモジュールを起動し攻撃を再開する。
『艦長、この変形は一体.....?』
「あれ? 説明してなかったか?」
その時、シトリンがカルに問う。
船の改造について知らされていなかったのだ。
「.......まあ、おいおいな」
SNOには、超技術巡洋艦と呼ばれる艦種がある。
既存の艦船に、ビジターと呼ばれる勢力の技術を組み合わせて作られた改良型の特殊艦である。
カルはこれを、ファイスと共に再現した。
アドアステラの外部装甲にビジターのパーツを組み合わせ、変形できるように改造したのである。
その強化は、燃料を消費しないという最大のメリットが存在する。
デメリットとしては、サブシステムやフォートモジュールに比べると弱いという事ではあるが――――それは、些細な問題であった。
「このまま要塞内部に突入する! シトリン、ファイスは俺に続け!」
「はっ!」
『了解』
星系軍と陣形を乱した海賊艦隊との交戦を背に、
アドアステラは、開いたままの要塞ドックまで加速するのであった。
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